零回戦の正解は「選句」 。など、という響きにお仕事感がよく出ている。
全員不正解。
この日8月19日は「俳句の日」
俳句甲子園は句会の翌日と翌々日に行われた。
お題は俳句甲子園でも出た題から。龍淵に潜むは秋の季語。
一回戦
「龍淵に潜む」
龍淵に潜む音する聴診器/企鵝
「上手いですねえ」「これは上手い」「動詞が入って難しい季語なんだけどね」
小さき龍淵にミニチュア砂の城/喜奈子
「挨拶句ですね。ありがとうございます」
メルカリで買ふウクレレや龍淵に/みずな
「合わないかなあ」「高木ブーは雷神でウクレレ弾いていたから、物語の繋がりがあるのかな」
龍淵に潜む首相は雪隠(せつちん)に/遊鬼
「雪隠とはトイレ。おしっこすることかな」「首相じゃなくて岸田って言ったらいい」
龍淵に潜む場末の街中華/たろりずむ
「これはラーメン」「場末はいらないかな」「街中華って言うと場末に決まっているからな」
龍淵で狂い舞ふ野の石舞台/菊池仙葉
「で?(笑)」「神楽で能とかやってんのかな」
龍淵に潜むが如くストーキング/小佐治
「潜む、がね」「ストーキングよりパンツ嗅ぐとかがいいんじゃない?」(笑)「マルサとか入れたら?」「国税庁は大嫌いだ」(笑)
龍淵に潜みてとぐろ絡まりぬ/翼
「ああ、面白いんじゃない?」「龍の説明になってる」「龍と蛇は一緒だよ」「龍は足があるよ」
龍潜む淵に木の葉が波紋作る/小佐治
「淵って深いからね」「可愛いすぎるかな」「木の葉がまっすぐ落ちるとかにしたら」
龍淵に気がないコーラのような恋/リック
「ダブルミーニング、その気がない」「ような、がちょっと」「もう少し壮大にしたら良いかな」「恋がいらないかな」
龍淵に潜む上野のハッテン場/遊鬼
(笑)「まがまがしい(笑)」「入墨の龍」「長老のような人がいて」「リアルだ(笑)」
龍淵に潜む空き缶拾い終へ/企鵝
「自転車にいっぱい積んでいる感じ」「あれはお金になるのかな」「企鵝さん最近上手いなあ」
龍淵に潜む眞子妃はアメリカに/喜奈子
「ミステリアスな感じ」「日本にいると小室さんが叩かれるからね」
(笑)「それいい」「大きさが出ている」「上手い。本当に上手い」
龍淵に潜むIKEAの売り場にも/遊鬼
龍淵に詐欺師集団皆殺し/翼
(笑)「皆殺し(笑)」「今日しかできない」
龍淵に潜むと共に恋終わる/小佐治
「恋は終わるもの」「スケジュール合わなくて一週間みんな遊んでくれなかった(笑)」
龍淵に潜む女のタトゥーかな/菊池仙葉
「龍すぎる」「おでこのタトゥーかな」(笑)「腿がいいよ(笑)」
正常になる生活や龍淵に/ゆり子
「正常はちょっと広すぎるかな」「コロナ禍からコロナ前の生活に」「税金を払っていない龍淵に、くらいでもいい」
龍淵に潜む甲子園のサイレン/リック
「ちょっといいね。でも微妙かな。でも直しようがないかな」
万冊を四枚咥え龍淵に/翼
(笑)「四万円詐欺師に取られたんだ」
龍淵に潜む子供は屋根裏に/遊鬼
「いいね」「やり部屋にしたら?」「えー(笑)」「学校とかつまんない所がいいかもよ」
龍淵に潜みて詐欺の電話かな/龍
(笑)「最近はメールなんだよ」「世の中に今」「俺がモデルになるよ(笑)」「インドとかで世界的にやってる」「東南アジアに連れていかれてタコ部屋で延々と電話させられるイメージ」
龍淵に潜みて弄る巨根かな/遊鬼
「こういうのも俳句甲子園に出て欲しい」「男と男の感じ」
好きを止められない龍淵に潜む/ダリア
「ノンストップフォーリンラブ」「英語の句にしたら龍淵にと合いそう」「globeの不倫の句みたいな」
龍淵に潜む滝壺織田無道/企鵝
「織田無道、タレント坊主」「恐喝未遂の(笑)」「破天荒ぶりがお茶の間の人気に」
龍淵に潜む不良の身嗜み/たろりずむ
「龍ってヤンキー的」「昔の硬派な」
龍淵に潜みて詐欺師暗躍す/みずな
(爆笑)「みんな今日はそれしか考えられない(笑)」
龍淵に潜む全自動麻雀卓/遊鬼
「お、これいいんじゃない?」「麻雀やってると運のような流れがある。麻雀卓に龍が潜んでいるんじゃないかなって思うような」「ドラゴンっていう麻雀用語もある」「全自動は牌が一回穴に潜むんですよ。そこが面白い」
龍淵に潜む人妻といふ価値/ゆり子
「人妻に価値があるんです」「AVとかでも30くらいになると人妻という言葉をつける」
龍淵に潜む双頭ディルドかな/遊鬼
「二つ頭」「女の子だね」
龍淵に潜む返金還付金/たろりずむ
「これ、詐欺でしょうね。還付金ありますよ、って」
龍淵に西太后は毒親に/喜奈子
「ウィキペディア見ると、ライバルの手足切断して亀に与えたなんていう話が。九代皇帝の」
龍淵に潜んでいる間の特殊詐欺/よかちょろ屋こうたろう
(笑)「確かに詐欺は潜んでいる」
龍淵に潜む脱北密航船/遊鬼
「これはよくあるかな。情景が合っている」
龍淵に潜む轆轤(ろくろ)に盛る陶土(とうど)/遊鬼
「秋が一番合うね」
龍淵に潜む それにつけてもおやつはカール/小指つめ子
(笑)「なるほど」「龍淵に、で止めてもいいね」
龍淵に潜みて安い酒に酔ふ/みずな
「あー」「もっと面白くなりそう」
龍淵に潜む女子校の通学路/たろりずむ
(爆笑)「ただの不審者」
龍淵にもサウナの水風呂にも潜む/遊鬼
「これはタトゥーかな」
龍淵にドラゴンズは崖っ淵に/小佐治
「今はノーアウト満塁」(笑)
龍淵に発信音はただ響き/リック
「電話?」「1分くらいぷるるぷるるが止まらない」「発信音の9回目とかにするといいね。10回目で切ろうと思う」
龍淵に為すがままなる恋慕かな/ゆり子
「季語が合わないかな」
龍淵に潜む奴隷は肥溜めに/遊鬼
(爆笑)「ひどいですね」
龍淵に室外機の風肌撫でて/リック
「室外機の風は面白いね。目を瞑りたるくらいがいいかな」
龍淵にTUBEと共に潜みたり/小佐治
龍淵に潜みて核のスイッチも/翼
「これも例えが隠れている。プーチンの服に」「もっとリズム良くしたいな」
龍淵に潜む渋谷の巨大パフェ/遊鬼
「パフェに潜んでいるの?」「面白いと思うよ」「渋谷にギャルの感じがする」
野球部のキスを睨んで龍潜む/リック
「特殊だなあ(笑)」「野球部が睨んでいる?野球部のエースとマネージャーがキスしているのかな」「妬みです」
龍淵に潜む牛丼汁(つゆ)だくで/遊鬼
「あー丼の感じ。いいね」
咳き込んで 龍淵に潜む 饐えた部屋/小指つめ子
「酸っぱい匂い」「コロナに罹って何もできないのかな」「食べ物の腐った感じ」
龍淵に潜むミートソーススパゲティ/遊鬼
「これはピンとこないなあ」「外に飾ってあるやつ」「フォークで巻いていくとのぼって行く感じがするね」
一回戦終了。二回戦も同様に俳句甲子園から。
二回戦
「十(漢数字)」
十本の指の見えてる案山子かな/企鵝
「こまかく見てる」「軍手だね」「ドラえもんではなかった」
十戒や栗の花咲く闇の奥/遊鬼
「モーゼの十戒」「じっかいって読んだ方がいいのかな」「栗の花は精子の匂い。中出ししたのかな」「戒律に背いて…」「同性愛とか」
虫選び十人以下なの信じて無いね/ダリア
「虫選びって?」「セックスの経験人数なのかな」
十字切る摘んだ茸の試食会/喜奈子
(笑)「これいいね」「椎茸に十字を入れて切るのとダブルミーニング」「恐る恐る食べるのかな」
雨乞や五回表で十点差/たろりずむ
(笑)「面白いね。予選はコールドゲームになっちゃうから、ここで雨が来れば試合中止になる」「で、より、の、がいいかな」「雨乞いが理由になっているかな」
十両の儘の引退小鳥来る/遊鬼
「あー」「小鳥来るだと幸せな感じがしちゃうかな」「優しくて人を倒すタイプじゃなかったんだろうね」
山の日は十代の子と付き合ひたい/翼
「日は?」「日も!(笑)」
秋の田にかい人二十一面相/小佐治
「案山子が色んな顔をしたのかな」「色味はなんとなく分かるなあ」「小学生が作ったら褒められそう」
十万円貰つて行きし大花野/遊鬼
「十万円は給付金かな」「大花野にお金いらないだろ(笑)」「田舎だから交通費がかかるのかも」「十万円、すってにしたら?」「いいね」
十二十三十残暑のラジオかな/龍
「夏休みが過ぎてゆく感じかな」「年齢?」「過払い金なんですよ」「あー(笑)」「わかんないよ(笑)」
十人と呼ぶがよろしき案山子かな/喜奈子
「十体でなく十人に」「十柱とも言う」「いいですね」
十畳程の田んぼ今年も実りたる/遊鬼
「これはいいね。庭の感じがする」
十六分音符で叩く君の尻/リック
「エイトビート(笑)」「タタタタ(笑)」「一発のダメージは軽そう」「高橋名人(笑)」
十の位いつも八なりうそ寒し/喜奈子
「2980円とか」「心理学的に安く感じる」「ちょっと難しいなあ」
落雁を捨てる八月十六日/たろりずむ
「お供えに来たけど」「食べないんだね」「あれ甘いだけでイライラする」「不味い不味い言いながら結構食べてたよ」「菊の形とか」「拾う、にしたら。ほら、小佐治落ちてるぞ(笑)」「十五日でもいいね」
虫売りが十数へたら消えてゐる/遊鬼
「虫売りじゃなくてもいいかな」「音とともに消えるのかな」
枝豆を十個食べれば五個の莢/喜奈子
「ひとつの莢に三粒と一粒があると平均して…」「豆は十粒って言った方がいいかな」
十六夜や指入れてみる壁の穴/遊鬼
「これはいいんじゃない?」「月が欠けていてセンチメンタル」「子どものいたずらの感じがする」「大人は月に騒いでいるけど、子どもは飽きちゃっている感じ」「エロ漫画の感じも…(笑)」
十秒のストップボタン夏休み/龍
「遊んでるんだね」「あー、やってた!」「終業式とかの方がいいかも」「体育の日がいいんじゃない」「あー」
鬼の子に交じりてゐたる九十九髪/翼
「白髪…百から一を引くと白いから」「あー」
十月を越へぬ予定の命かな/遊鬼
(笑)「切ないなあ」「今頃コロナになった人かな」「この十月は決まって動かない。神の留守だしね」
十錠ずつ増やすおクスリ秋深し/みずな
(笑)「増やし過ぎだよ(笑)ODだよ」「10㎎だったら分かる」「それでも多い」「200㎎くらい飲む薬だったら(笑)」
十字路を越えたら龍が潜んでた/小佐治
「どういう意味だろう」「こっちが夏、こっちが秋なのかな」「ドラクエっぽい」
扇置き十月十日を脅しゐる/ゆり子
「お前、妊娠したのか(笑)」「どこの子種なんだって問い詰めているのかな」
十六文キックを真似たら足払い/小佐治
「キックしようとしたら足を払われた」
さつちやんの十一歳の夏休/翼
(笑)「可愛い~特選だな」(笑)「何も言ってない」「ただのロリコン」
パーキンソン祖母の十八番の五輪音頭/小佐治
「パーキンソン病の祖母の十八番なんだよ」「死んで箱に入っているのかと思った(笑)」
八月十八日はビーフンの日/きもと
「そうなんだ(笑)」「へー」「吉川晃司の誕生日なんだ(笑)」
十字路に立ってひたすら君を待つ/リック
「短歌っぽい」「ゼブラゾーン」
十人十色つて避けられて秋の野まで来る/ゆり子
「ちょっと音が悪いかな。避けられて。で止めておけばいい」「頭が重いかな」
凄十の効き目を猫で確かめる/小佐治
(爆笑)「勃起薬ですね。コンビニでも売っている」「猫で確かめるが面白い(笑)」「またたびより効くぞ(笑)」「凄十の字面がすごい。動物虐待だよ(笑)」
十字架の如く轍とハブの遺骸/丹下
「骸だね」「そんな思いっきり轢かれないだろ(笑)」「田舎だと結構轢かれるんですよ(笑)」「茨木和生さんの目が並ぶごとく偏平蛇轢かるっていういい句があります」「へー!」「頭を轢かれてね」
西麻布十々プロ彼女を持ち帰り/きもと
「焼肉か」「あー」「ギャラ飲みかな」「志村けん」「パパ活」「みんなのものみたいな…十万出したらやらせてくれる」「二万くらいだよ。四万あったら二回やれたのに…」
十人と一匹のいる夜学かな/企鵝
「生徒が十匹で先生一人の方がいい」「豚とか犬とか」「盲導犬とか」「あー」「犬と仲の良い少年」「一人の女の子を犬と呼んでるんじゃ(笑)」(爆笑)
秋茄子や十月十日を逆算す/たろりずむ
「逆算って言わない方がいい」「嫁に食わすって言うからね」「体冷えるから食べちゃダメっていう良い意味でもある」
十回に九回は吐くましら酒/みずな
「飲むものじゃなく木にたまたまできちゃった酒」「中国製」(笑)「熊が発見したり」「猿が果物を木に溜めていたのが発酵した酒ですね」
三日月や十回の裏始まりぬ/企鵝
「三日月だと野球の感じがしないかな」「ナイター。客も帰りたい。表の方がいい。裏だとサヨナラのチャンスだから盛りあがっちゃう」
マヨネーズ切らして八月十五日/遊鬼
「作りすぎかな」「マヨネーズ立てて…くらいで切らすがギリギリどうだろう」「マヨネーズいいね。アメリカ的な」「逆さがいいね」
ドア開かぬ二百十日の車中かな/みずな
「二百十日は9月の台風が来たり災難があるとき」「立春から数えるんだね。稲の開花日でもあるから厄日として備えたんだそうです」
十六夜や忍び込めない校舎かな/リック
「最近セコムもついている」「こないだのバイク改造すの句、面白かったね」「十六夜のセコムの鳴っている校舎、くらいがいいかも」「猫が忍び込んで鳴ることもある」
十か国語の聞こえ来る夜学かな/喜奈子
「夜学を変えた方がいいんじゃないかな」「コンビニの研修とか」「芋煮会とかいいですね」「釣り堀とか面白いかも」「回転ずしとか」「賑わっているけど変な場所」「ハッテン場」(笑)
爽やかになくした十円諦める/たろりずむ
「なんかむかつく」「諦めないでほしい(笑)」「わざわざ言ってるから本当は悔しいんだよ」「こないだ一万なくした」「俺、今、四万なくした」(爆笑)
十回の裏の攻撃秋時雨/遊鬼
「これは十回じゃない方がいい」「裏じゃない方がいい」
十真数分類表を痴女と見る/リック
「図書館で見てる」「910が文学」(笑)「痴女がいい」「痴女いいね」「大好き」(笑)
十字架が突き刺してある芋畑/翼
「九州っぽい」「青森のつもりだった」
十九年生きて秋の海を知らず/ゆり子
「埼玉?」「十九の秋」「群馬出身だからしばらく知らなかったんです」
昭和二十年モノクロの油蝉/翼
「終戦の年だね」「感傷的」「最近AIで色付けるよね」「着物業界、色付けたがるんですよ」「強引に色付けられる油蝉にしたら?」「あー」「昭和20年どピンクの夾竹桃」(笑)「AIが竹槍に色付けるとか面白いかも」
十人に輪姦された日の天の川/遊鬼
「まわされたって読むのか」「ミルキーウェイだからね」(笑)「ただやられたって句だね(笑)」「天の川を変えた方がいい」「流れ星とか」「夜這い星とも言うからね」(笑)
豊年や三十路過ぎてもフェミニスト/よかちょろ屋こうたろう
「いっぱい米がとれたんだね」「米と少女を交換しました(笑)」「二毛作(笑)」(爆笑)
煙草屋に高野素十の甲虫/翼
「素十に甲虫の句があったんですか」「引っ張れる糸まっすぐや甲虫」「煙草屋にその情景を見つけたんですね」「俺の句は難しいんだ(笑)」
十年後タイムカプセルただ錆びて/リック
「そのまんまだな」
十のうち二は冤罪や秋の蜂/たろりずむ
「痴漢?二割も冤罪っていうなら」「でき心」
十字架にかかるショッキングピンク/リック
「翼さん?吊るされた?」「貼り付けだから…」「お墓にピンクの花があるって言いたかった」「十字架の墓に立つピンクかな、でだいたい分かるよ」
秋風や古銭の穴に十手差し/翼
「古い銭」「穴の開いている」「十手ってそんなに細いんですかね」「入んないかもね」「江戸時代?糸通しだったら分かるかな」「古銭がでかいんじゃない?」
以上で終了です!!最後までお読みいただきありがとうございます!!
おまけ
俳句甲子園の受賞作
兼題「龍淵に潜む」「十」での受賞作抜粋(優秀賞以上のもの)
優秀賞 岸本尚毅選
龍淵に潜む眼鏡に小さき螺子/南幸佑 海城高等学校A
優秀賞 如月真菜選
くちびるに雲呑触れて龍淵に/高井彩香 北海道旭川東高等学校
優秀賞 小澤實選
露草に十年先の来てをりぬ/谷田部慶 開成高等学校
編集:屍句会報編集部 小佐治、桃猫
文責:木内龍