零回戦の正解は「昼寝覚」
起きたら放送が切り替わっていた様子か。全員不正解。
この日の正午前、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され心肺停止というニュースが流れた。午後のタイムラインには仰々しい言葉が並ぶ。目が覚める令和の大事件だった。
前日は七夕。逢瀬は年に一度くらいに落ち着くのがよいのだろう。歌舞伎町はこの夜も賑やかに見えた。
一回戦
「歌舞伎町浴衣吟行」
キンカンのCMだけが元気なり/翼
「実景ですね」「コマ劇の上できんかんのCMを流していました」
木陰からそつと見てゐる盆踊り/夢の二
「可愛いんじゃない?(笑)」
アスファルトを浴衣カラコロ下駄の音/みずな
「まあ、普通だな。アスファルトとの相性がいい」
鉄柵に尻並べたる浴衣かな/企鵝
「綺麗」「よく見てたね」
化粧した男が下げる「浴衣デー」/ゆり子
「ホワイトボードを首からさげてたね」
工事音以下の友情夏休み/翼
「工事の音より小さい友情」
カメラ見ていざ顔隠す織姫たち/小佐治
「いざ、が変だなあ」
まだ未練あつて素麺さつと食う/ハル
「まだと未練がかぶっている(笑)」
歌舞伎町折れそうな女と七夕竹/小佐治
「まあ普通だなあ」
夏風と金属音とディンドンドン/小指つめ子
「ディンドンドンはクリスマスじゃない?(笑)」
ミンナ脇毛生エテナイヨ!/風の日の扉
(笑)「ちゃんとカタカナで書いてある」
浴衣着て挙動不審な俳句テロ/たろりずむ
(爆笑)「よく見てるなあ(笑)」「やめろよ。ギリギリだよ(笑)」「俳句テロ(笑)」
歌舞伎町の選挙ポスター明易し/みずな
「まあ普通かなあ」
新宿も山口県庁所在地に/よかちょろ屋こうたろう
「はい(笑)」
熱帯夜手を振つているプラカード/企鵝
「まあ、普通かな。客引きですね」
戒厳令敷かるるトー横七夕祭(さい)/よかちょろ屋こうたろう
(笑)
七夕のこの世去る人出会う人/小佐治
「七夕じゃない季語がいいよ」
歌舞伎町今日も煌めく暗殺忌/遊鬼
「新しい季語」「誰でも当てはまっちゃうね」「愛国忌(笑)」
日本が一瞬揺れて夜の緑/翼
「あー上手いですね」
境内で寝てる菊池ぢやない男/ゆり子
(爆笑)「もう一人いたね」(笑)
晋三が成仏できずキャバクラへ/こゆき
「死にたてだよ(笑)」
夜の秋店子は一歳年を取り/夢の二
「はい」
メイドインカブキチョCBD夏深し/夢の二
「なんか脱法系のもの売ってましたね」「ぎりぎりですね(笑)」
キンカンの歌のループや熱帯夜/みずな
「歌のループがいいんじゃない?」「♪キンカン塗ってまた塗って」
透明な夏雲うちとりにけり/辻
「討ち取りにけり、晋三のことですね。悪い奴を討ち取った感じになるから、ちょっと嫌味が強いかな」
右目を初めて見た/風の日の扉
(笑)「なんだろね」「厨二病?」「眼帯の」
晋三忌神社の前で写真撮る/小川まこと
「世界で一番最初に晋三忌を使ったかもしれない」「いいね」「靖国っぽい」
手作りや散弾銃ぢやなくて壺/たろりずむ
(爆笑)
二人乗り少しよろめく夜涼かな/企鵝
「やりょうって読むのかな」「夜涼しの方がいい」
短冊に書かぬ願ひや星涼し/たろりずむ
「あー、いいね。星涼しが付き過ぎかなあ」
抜け道をゆく桃色の夏帽子/企鵝
「あー」「翼さんの景だね」
トー横のYシャツは胸に扇子入れ/ゆり子
「は、がいらない」
病みて知る花もあるとふ歌舞伎町/菊池仙葉
「病気になって…」
酒タバコ禁止されたる広場夏/翼
「普通だなあ。夏の付け方が雑(笑)」
山繭やトー横に行くためのべべ/ゆり子
「山繭って蛾だよね。すごいでかい」「奈良っぽい(笑)」
年確はされず浴衣で買ふタバコ/翼
「年齢確認。当たり前だよね。自分でぽちっと押すだけだから」
あの夏の恋の緞帳このままで/ハル
(笑)
涼風に絵馬戦ぎたる社の夜/遊鬼
「絵馬がそよぐって言うかなあ。もっと軽いものじゃない?」
七夕に出会う星々堕ちる星/小佐治
「うーん」
殆どが水商売の浴衣かな/翼
「これ上手いですね」
お囃子と共鳴している鼓動かな/夢の二
「分かりやすすぎるかな」
七夕は小雨くらゐが丁度いい/たろりずむ
「川柳っぽいけど悪くない」
石段に影三つあり月凉し/企鵝
「三つはいいんじゃないかな。二つだと男女」「SPの影じゃない?」(笑)
歌舞伎町でさえ選挙ポスターは無傷/小指つめ子
(爆笑)「面白い」「思想はノンポリだから。『なんか貼ってあるー』(笑)」「乙武に手が足してある(笑)」
半ズボン座り込んでるアパホテル/企鵝
「これ実景ですね」「現代的でいい」
竹槍も届く心臓ピースフル/よかちょろ屋こうたろう
(笑)「ピースフル(笑)」「ひどいなあ」「跳ねてるなあ」
逆向きの作り帯なり金魚柄/ゆり子
「金魚の尾っぽが見えてる感じがしていい」
誰でもない誰かのつもり水中花/ハル
「急に重くなったなあ」
暗殺の夜浴衣掛けの歓楽街/遊鬼
「暗殺で切るのかな、暗殺の夜…」「何回も読まないで」(笑)
浴衣着せ合つてゐてほしい男の子/ゆり子
「男は簡単に着れるからなあ」
パソコンを持つて浴衣で撮つてゐる/小川まこと
「実際にあった」
撃たれても誰も泣かない歌舞伎町/たろりずむ
(笑)「安倍ちゃんが死んじゃったぴえん」(笑)
零戦を呑む勢いでナンパする/よかちょろ屋こうたろう
「特攻ってことかな?」「ちょっとくらいの被弾は気にしないってことかな(笑)」
缶チューハイ口紅を塗るお兄さん/龍
「缶チューハイが雑」「俵万智には勝てないな(笑)」
レクサスが突つ込んでくる暗殺忌/遊鬼
(笑)「暗殺者でも面白い(笑)」
グラジオラスリスカホス狂人気キャラ/夢の二
「詰め込んだだけだよ(笑)」
笹食って親孝行と火の用心/よかちょろ屋こうたろう
「火の用心がなんかいいなあ」「共産主義の台頭(笑)」「毛沢東(笑)」
おしっこをしたかっただけです/風の日の扉
(笑)
むらさきのネオンの涼し歌舞伎町/みずな
「もっと変な言葉入れた方がいい」
ビニールのずつと舞つてる溽暑かな/企鵝
「上手いですね」「ビニール袋が地面につかない」「写生が上手い」
境内に響くゲップ音月涼し/小指つめ子
「音っていうのがどうかな。や、でいいんじゃないかな」「旱星がいい」
歌舞伎町浴衣の似合ふ地名かな/たろりずむ
「言われてみればそうだね」
ディオールの紙袋手に浴衣かな/ゆり子
「すごいブスで、いたなあ(笑)」
歌舞伎町以外と浴衣の人がゐる/翼
「以外になってます。意外ですね」(笑)
並び居るバニーガールの素足かな/ゆり子
「つまらないなー」
空蝉や家系図からは外されて/ハル
「あ、面白いかも。空蝉があってる。こんな三男いなかった、みたいな」
七夕や由美子と遊び過ぎました/風の日の扉
(笑)「そうですか」(笑)
看板の込み合う二階油照り/遊鬼
「ゴールデン街の様子かな」「夜の感じを出したい」「熱帯夜でも良かったかも」
おしぼりで形状を確かめてみた/風の日の扉
「ピンサロの景ですね」「プレイの前に拭くんだよ」
銃痕にキンカン塗つたら染みるよね/翼
(爆笑)「何言ってんですか(笑)」
パンティーおくれ!七夕の寝言/こゆき
(笑)「寝言で言うものじゃないよ(笑)」
トー横で見ずに感じろ天の川/小佐治
「説明だな」「裏に広がる天の川くらいでいい」
刺青を隠して売れるかき氷/遊鬼
(笑)「いいんじゃない?」「アームカバーをして…」(笑)
携帯を弄る客引き天の川/翼
「普通だな」
欄干の丹塗りの影へ夏の風/みずな
「丹塗が涼しげな感じ」
神棚にアベノマスクと下村猛/よかちょろ屋こうたろう
(爆笑)「いいねえ」「嬉しそうだなあ」
白服のゆつくり無料案内所/企鵝
「惜しい。ゆっくりがもう少し」
I♡の♡がゆつくり点滅す/小川まこと
「あー」「ハートのマークがついています」
カラフルなTシャツを着て夏乞食/龍
(爆笑)「夏乞食(笑)」「そんな言葉ないよ(笑)」
晋三忌それはさておき吟行へ/たろりずむ
(笑)「あっさりしている(笑)」「いいねえ」
シナシティ広場に屯すアナキスト/よかちょろ屋こうたろう
「たむろする」「シネシティをわざとシナシティと書いてる(笑)」
風死すや石畳にしゃがむ吟行/みずな
「もうひとひねり欲しい」
吟行を刑事のやうに追跡す/小川まこと
(笑)「やめて」
暗殺忌ホストのビデオの大ビジョン/遊鬼
「でっかいモニターのことですね」
黒人が思考してゐる自転車で/小川まこと
「黒人は考えないよ(笑)」
吟行のご一行といふ水狂言/ゆり子
「よく分からないな」
期日前投票箱に笹一枚/よかちょろ屋こうたろう
「うーん」「習近平」
下駄鳴れば声かけ少女らは黙り/龍
「黙らなくてもいいよな」
病名は「安倍政治を許さない」/ハル
(爆笑)「罪名は、にしたらいい」
夏芝居果てても黒子のままでゐる/遊鬼
「うーん」
原色の粒々選挙ポスターは/小川まこと
「これ東京っぽい」「離れて4,50枚貼ってるのを見ると、ドットみたいに見える」「乙武のが一番小さい」(笑)
男二人仲睦まじく七夕夜/小佐治
「まあ普通かな」
サングラス掛ける暗殺者のやうに/遊鬼
「今日出すとつきすぎ」
吟行や自然とソーシャルディスタンス/たろろずむ
「これはつまんないなあ」「新聞投句欄(笑)」
革命に憧れているぴえん顔/よかちょろ屋こうたろう
(笑)「ぴえん顔が上手い」
炎天の軽き銃声二発かな/遊鬼
「これも新聞投句っぽい」「命が軽いんだよ」
貧乏は涼しき姿屯して/翼
「たむろして、がちょっと」
冷や麦や二行で収まる恋のこと/ハル
「やった、殺した」(笑)「それは二行でなく二言」
下駄鳴らし別れてゆける浴衣かな/遊鬼
「普通、そのまんまだなあ」
蜘蛛の巣が酒場に深く張つてある/小川まこと
「笑うせえるすまん」
二回戦
「武器の名前」
竹槍でグラマン落とす原爆忌/遊鬼
「戦中子ども日記だな」(爆笑)「グラマンて?」「飛行機だよ」
AKを目隠しで組む海人ら/ハル
「銃の名前ですね。連射できる」「ワンピースっぽい」
ホチキスで背中を挟み反抗す/小川まこと
「アタッカーみたいに?」「ホチキスの針を親父の尻に、くらいにしたら?」
晋三忌七つの傷を散弾銃/こゆき
「北斗の拳のような傷を持つ男」
自作の銃で自殺してても良かつたな/小川まこと
「犯人、放心状態っぽかったね」
ミサイルより乱射したいな消火器を/小佐治
「消火器は片付けるの大変だからやめてください(笑)」
銃身が焼けているなり暗殺忌/遊鬼
(笑)「撃ちたてほやほや」「そのままでした」
爆弾の奏でるビートテロリズム/うなぎ
(笑)「これいいですね」「現代的」「暴力だけど冷静に見ている」
ピカドンと同じ強さの竹の槍/よかちょろ屋こうたろう
(爆笑)「異議なし(笑)」
体内で散る鉄球や散弾銃/みずな
「これ、説明だなあ(笑)」「だから殺傷能力高い」
Tシャツに膨らんでいるショットガン/企鵝
「ショルダーにしていた」
爆弾を作つてゐたる夏季講座/たろりずむ
「夏期講座をさぼっているのか」「今井さんの最初の授業は火炎瓶だったって(笑)」
次の暗殺はヌンチャクで/こゆき
(笑)
全裸中年斧をもつてることがある/翼
(笑)「田舎の男」「酔っぱらってる」「イギリス人(笑)」
手榴弾から編み出した手花火/夢の二
「手榴弾の形の花火あるよね」
ハンガーを回して飛ばす夏休み/とみ
「懐かしい」
ファットマンリトルボーイ何故だろう/うなぎ
(笑)「なぜだろうが面白い」「小学生の化学的な疑問」(笑)
「デブのチンコ小さいの何故?ってこと」
銃光る大体のこと昭恵のせい/ハル
(笑)「いやー、昭恵によって許されたんじゃない?」
Jリーガー脚こそ武器と矜持あり/小佐治
「急に真面目だ(笑)」
トカレフを壁に敷き詰め熱帯夜/とみ
「ガンマニアだね。山小屋とか」
カラシニコフ撃ってなんぼRPG/ごとう
「六本木って読むんだよ」「RPG(笑)」
小五までロケット花火が最強だ/翼
「いいですね」「小6からはなに?チャカ?」(笑)
ギンギラのメリケンサックで西瓜割る/夢の二
(笑)
短冊に平和願わぬゼレンスキー/小佐治
「そりゃそうだね」「武器の名前がないよ」「ゼレンスキーなんじゃない?」
包丁でヤクザを刺して明易し/遊鬼
(爆所)「明易しがいい」「家族殺されるなあって(笑)」
パチンコを取り上げらるる夏期講座/企鵝
「これゴムのほうのパチンコですね」
てへぺろと拳一つで生きる夏/みずな
「なるほど。これいいんじゃない?」
特殊警棒見せられてゐる夏祭/たろりずむ
(笑)「いいですね(笑)」「何やったんだよ」
トカレフがいつぱい出てくる海の家/ハル
「砂浜じゃないからなあ」
日本語を知らぬふりして青龍刀/龍
(笑)「28年くらい前にあった。チャイニーズマフィアが振り回して」
教室の陰口全部知る向日葵/ゆり子
「武器は?」「陰口?」「殺傷能力がある」
安倍さんへ水鉄砲のつもりでした/翼
(爆笑)
脳殺パンチメロメロの晋三忌/こゆき
(笑)「昭和感が(笑)」
長刀が祭の中を進みをり/小川まこと
「これ面白い。ぴょこんと出ていて。神事に使うからね」
コスプレでドスを合わせる紺浴衣/遊鬼
「普通かなあ」
ブーメラン舞つて明るい大選挙/小川まこと
「大選挙ってなんだろう。衆議院選挙かな」
手始めの散弾銃や西瓜割り/翼
「食べれなくなっちゃうよ(笑)種かと思ったら弾丸でした」
鉄砲玉になつた青年河童の忌/遊鬼
「龍之介」「18くらいの」「間違って撃ったら鉄砲玉だった」
三島さんの日本刀になりたかつたな/夢の二
(笑)「ホモ句でした」
剣山のような罵倒が流れ来る/小川まこと
「これは普通じゃないかな」
木刀が今では杖になる炎暑/翼
「老人になってしまった」
原爆をロシアに落とす炎暑かな/遊鬼
(笑)「こっちの炎暑がいいな(笑)」
キン肉バスターで見る天の川/こゆき
(爆笑)「面白い」「筋肉バスターされて見ている天の川」
ビニールの棍棒持つて豹ビキニ/翼
「棍棒がビニール?海の情景ですね」
以上で終了です!!最後までお読みいただきありがとうございました!!
編集:屍句会報編集部 小佐治、桃猫
文責:木内龍