2022年7月8日(金)屍句会報

零回戦の正解は「昼寝覚」

起きたら放送が切り替わっていた様子か。全員不正解。

この日の正午前、安倍晋三元首相が街頭演説中に銃撃され心肺停止というニュースが流れた。午後のタイムラインには仰々しい言葉が並ぶ。目が覚める令和の大事件だった。

前日は七夕。逢瀬は年に一度くらいに落ち着くのがよいのだろう。歌舞伎町はこの夜も賑やかに見えた。

一回戦
「歌舞伎町浴衣吟行」

キンカンのCMだけが元気なり/翼

「実景ですね」「コマ劇の上できんかんのCMを流していました」

木陰からそつと見てゐる盆踊り/夢の二

「可愛いんじゃない?(笑)」

アスファルトを浴衣カラコロ下駄の音/みずな

「まあ、普通だな。アスファルトとの相性がいい」

鉄柵に尻並べたる浴衣かな/企鵝

「綺麗」「よく見てたね」

化粧した男が下げる「浴衣デー」/ゆり子

「ホワイトボードを首からさげてたね」

工事音以下の友情夏休み/翼

「工事の音より小さい友情」

カメラ見ていざ顔隠す織姫たち/小佐治

「いざ、が変だなあ」

まだ未練あつて素麺さつと食う/ハル

「まだと未練がかぶっている(笑)」

歌舞伎町折れそうな女と七夕竹/小佐治

「まあ普通だなあ」

夏風と金属音とディンドンドン/小指つめ子

「ディンドンドンはクリスマスじゃない?(笑)」

ミンナ脇毛生エテナイヨ!/風の日の扉

(笑)「ちゃんとカタカナで書いてある」

浴衣着て挙動不審な俳句テロ/たろりずむ

(爆笑)「よく見てるなあ(笑)」「やめろよ。ギリギリだよ(笑)」「俳句テロ(笑)」

歌舞伎町の選挙ポスター明易し/みずな

「まあ普通かなあ」

新宿も山口県庁所在地に/よかちょろ屋こうたろう

「はい(笑)」

熱帯夜手を振つているプラカード/企鵝

「まあ、普通かな。客引きですね」

戒厳令敷かるるトー横七夕祭(さい)/よかちょろ屋こうたろう

(笑)

七夕のこの世去る人出会う人/小佐治

「七夕じゃない季語がいいよ」

歌舞伎町今日も煌めく暗殺忌/遊鬼

「新しい季語」「誰でも当てはまっちゃうね」「愛国忌(笑)」

日本が一瞬揺れて夜の緑/翼

「あー上手いですね」

境内で寝てる菊池ぢやない男/ゆり子

(爆笑)「もう一人いたね」(笑)

晋三が成仏できずキャバクラへ/こゆき

「死にたてだよ(笑)」

夜の秋店子は一歳年を取り/夢の二

「はい」

メイドインカブキチョCBD夏深し/夢の二

「なんか脱法系のもの売ってましたね」「ぎりぎりですね(笑)」

キンカンの歌のループや熱帯夜/みずな

「歌のループがいいんじゃない?」「♪キンカン塗ってまた塗って」

透明な夏雲うちとりにけり/辻

「討ち取りにけり、晋三のことですね。悪い奴を討ち取った感じになるから、ちょっと嫌味が強いかな」

右目を初めて見た/風の日の扉

(笑)「なんだろね」「厨二病?」「眼帯の」

晋三忌神社の前で写真撮る/小川まこと

「世界で一番最初に晋三忌を使ったかもしれない」「いいね」「靖国っぽい」

手作りや散弾銃ぢやなくて壺/たろりずむ

(爆笑)

二人乗り少しよろめく夜涼かな/企鵝

「やりょうって読むのかな」「夜涼しの方がいい」

短冊に書かぬ願ひや星涼し/たろりずむ

「あー、いいね。星涼しが付き過ぎかなあ」

抜け道をゆく桃色の夏帽子/企鵝

「あー」「翼さんの景だね」

トー横のYシャツは胸に扇子入れ/ゆり子

「は、がいらない」

病みて知る花もあるとふ歌舞伎町/菊池仙葉

「病気になって…」

酒タバコ禁止されたる広場夏/翼

「普通だなあ。夏の付け方が雑(笑)」

山繭やトー横に行くためのべべ/ゆり子

「山繭って蛾だよね。すごいでかい」「奈良っぽい(笑)」

年確はされず浴衣で買ふタバコ/翼

「年齢確認。当たり前だよね。自分でぽちっと押すだけだから」

あの夏の恋の緞帳このままで/ハル

(笑)

涼風に絵馬戦ぎたる社の夜/遊鬼

「絵馬がそよぐって言うかなあ。もっと軽いものじゃない?」

七夕に出会う星々堕ちる星/小佐治

「うーん」

殆どが水商売の浴衣かな/翼

「これ上手いですね」

お囃子と共鳴している鼓動かな/夢の二

「分かりやすすぎるかな」

七夕は小雨くらゐが丁度いい/たろりずむ

「川柳っぽいけど悪くない」

石段に影三つあり月凉し/企鵝

「三つはいいんじゃないかな。二つだと男女」「SPの影じゃない?」(笑)

歌舞伎町でさえ選挙ポスターは無傷/小指つめ子

(爆笑)「面白い」「思想はノンポリだから。『なんか貼ってあるー』(笑)」「乙武に手が足してある(笑)」

半ズボン座り込んでるアパホテル/企鵝

「これ実景ですね」「現代的でいい」

竹槍も届く心臓ピースフル/よかちょろ屋こうたろう

(笑)「ピースフル(笑)」「ひどいなあ」「跳ねてるなあ」

逆向きの作り帯なり金魚柄/ゆり子

「金魚の尾っぽが見えてる感じがしていい」

誰でもない誰かのつもり水中花/ハル

「急に重くなったなあ」

暗殺の夜浴衣掛けの歓楽街/遊鬼

「暗殺で切るのかな、暗殺の夜…」「何回も読まないで」(笑)

浴衣着せ合つてゐてほしい男の子/ゆり子

「男は簡単に着れるからなあ」

パソコンを持つて浴衣で撮つてゐる/小川まこと

「実際にあった」

撃たれても誰も泣かない歌舞伎町/たろりずむ

(笑)「安倍ちゃんが死んじゃったぴえん」(笑)

零戦を呑む勢いでナンパする/よかちょろ屋こうたろう

「特攻ってことかな?」「ちょっとくらいの被弾は気にしないってことかな(笑)」

缶チューハイ口紅を塗るお兄さん/龍

「缶チューハイが雑」「俵万智には勝てないな(笑)」

レクサスが突つ込んでくる暗殺忌/遊鬼

(笑)「暗殺者でも面白い(笑)」

グラジオラスリスカホス狂人気キャラ/夢の二

「詰め込んだだけだよ(笑)」

笹食って親孝行と火の用心/よかちょろ屋こうたろう

「火の用心がなんかいいなあ」「共産主義の台頭(笑)」「毛沢東(笑)」

おしっこをしたかっただけです/風の日の扉

(笑)

むらさきのネオンの涼し歌舞伎町/みずな

「もっと変な言葉入れた方がいい」

ビニールのずつと舞つてる溽暑かな/企鵝

「上手いですね」「ビニール袋が地面につかない」「写生が上手い」

境内に響くゲップ音月涼し/小指つめ子

「音っていうのがどうかな。や、でいいんじゃないかな」「旱星がいい」

歌舞伎町浴衣の似合ふ地名かな/たろりずむ

「言われてみればそうだね」

ディオールの紙袋手に浴衣かな/ゆり子

「すごいブスで、いたなあ(笑)」

歌舞伎町以外と浴衣の人がゐる/翼

「以外になってます。意外ですね」(笑)

並び居るバニーガールの素足かな/ゆり子

「つまらないなー」

空蝉や家系図からは外されて/ハル

「あ、面白いかも。空蝉があってる。こんな三男いなかった、みたいな」

七夕や由美子と遊び過ぎました/風の日の扉

(笑)「そうですか」(笑)

看板の込み合う二階油照り/遊鬼

「ゴールデン街の様子かな」「夜の感じを出したい」「熱帯夜でも良かったかも」

おしぼりで形状を確かめてみた/風の日の扉

「ピンサロの景ですね」「プレイの前に拭くんだよ」

銃痕にキンカン塗つたら染みるよね/翼

(爆笑)「何言ってんですか(笑)」

パンティーおくれ!七夕の寝言/こゆき

(笑)「寝言で言うものじゃないよ(笑)」

トー横で見ずに感じろ天の川/小佐治

「説明だな」「裏に広がる天の川くらいでいい」

刺青を隠して売れるかき氷/遊鬼

(笑)「いいんじゃない?」「アームカバーをして…」(笑)

携帯を弄る客引き天の川/翼

「普通だな」

欄干の丹塗りの影へ夏の風/みずな

「丹塗が涼しげな感じ」

神棚にアベノマスクと下村猛/よかちょろ屋こうたろう

(爆笑)「いいねえ」「嬉しそうだなあ」

白服のゆつくり無料案内所/企鵝

「惜しい。ゆっくりがもう少し」

I♡の♡がゆつくり点滅す/小川まこと

「あー」「ハートのマークがついています」

カラフルなTシャツを着て夏乞食/龍

(爆笑)「夏乞食(笑)」「そんな言葉ないよ(笑)」

晋三忌それはさておき吟行へ/たろりずむ

(笑)「あっさりしている(笑)」「いいねえ」

シナシティ広場に屯すアナキスト/よかちょろ屋こうたろう

「たむろする」「シネシティをわざとシナシティと書いてる(笑)」

風死すや石畳にしゃがむ吟行/みずな

「もうひとひねり欲しい」

吟行を刑事のやうに追跡す/小川まこと

(笑)「やめて」

暗殺忌ホストのビデオの大ビジョン/遊鬼

「でっかいモニターのことですね」

黒人が思考してゐる自転車で/小川まこと

「黒人は考えないよ(笑)」

吟行のご一行といふ水狂言/ゆり子

「よく分からないな」

期日前投票箱に笹一枚/よかちょろ屋こうたろう

「うーん」「習近平」

下駄鳴れば声かけ少女らは黙り/龍

「黙らなくてもいいよな」

病名は「安倍政治を許さない」/ハル

(爆笑)「罪名は、にしたらいい」

夏芝居果てても黒子のままでゐる/遊鬼

「うーん」

原色の粒々選挙ポスターは/小川まこと

「これ東京っぽい」「離れて4,50枚貼ってるのを見ると、ドットみたいに見える」「乙武のが一番小さい」(笑)

男二人仲睦まじく七夕夜/小佐治

「まあ普通かな」

サングラス掛ける暗殺者のやうに/遊鬼

「今日出すとつきすぎ」

吟行や自然とソーシャルディスタンス/たろろずむ

「これはつまんないなあ」「新聞投句欄(笑)」

革命に憧れているぴえん顔/よかちょろ屋こうたろう

(笑)「ぴえん顔が上手い」

炎天の軽き銃声二発かな/遊鬼

「これも新聞投句っぽい」「命が軽いんだよ」

貧乏は涼しき姿屯して/翼

「たむろして、がちょっと」

冷や麦や二行で収まる恋のこと/ハル

「やった、殺した」(笑)「それは二行でなく二言」

下駄鳴らし別れてゆける浴衣かな/遊鬼

「普通、そのまんまだなあ」

蜘蛛の巣が酒場に深く張つてある/小川まこと

「笑うせえるすまん」

二回戦
「武器の名前」

竹槍でグラマン落とす原爆忌/遊鬼

「戦中子ども日記だな」(爆笑)「グラマンて?」「飛行機だよ」

AKを目隠しで組む海人ら/ハル

「銃の名前ですね。連射できる」「ワンピースっぽい」

ホチキスで背中を挟み反抗す/小川まこと

「アタッカーみたいに?」「ホチキスの針を親父の尻に、くらいにしたら?」

晋三忌七つの傷を散弾銃/こゆき

「北斗の拳のような傷を持つ男」

自作の銃で自殺してても良かつたな/小川まこと

「犯人、放心状態っぽかったね」

ミサイルより乱射したいな消火器を/小佐治

「消火器は片付けるの大変だからやめてください(笑)」

銃身が焼けているなり暗殺忌/遊鬼

(笑)「撃ちたてほやほや」「そのままでした」

爆弾の奏でるビートテロリズム/うなぎ

(笑)「これいいですね」「現代的」「暴力だけど冷静に見ている」

ピカドンと同じ強さの竹の槍/よかちょろ屋こうたろう

(爆笑)「異議なし(笑)」

体内で散る鉄球や散弾銃/みずな

「これ、説明だなあ(笑)」「だから殺傷能力高い」

Tシャツに膨らんでいるショットガン/企鵝

「ショルダーにしていた」

爆弾を作つてゐたる夏季講座/たろりずむ

「夏期講座をさぼっているのか」「今井さんの最初の授業は火炎瓶だったって(笑)」

次の暗殺はヌンチャクで/こゆき

(笑)

全裸中年斧をもつてることがある/翼

(笑)「田舎の男」「酔っぱらってる」「イギリス人(笑)」

手榴弾から編み出した手花火/夢の二

「手榴弾の形の花火あるよね」

ハンガーを回して飛ばす夏休み/とみ

「懐かしい」

ファットマンリトルボーイ何故だろう/うなぎ

(笑)「なぜだろうが面白い」「小学生の化学的な疑問」(笑)
「デブのチンコ小さいの何故?ってこと」

銃光る大体のこと昭恵のせい/ハル

(笑)「いやー、昭恵によって許されたんじゃない?」

Jリーガー脚こそ武器と矜持あり/小佐治

「急に真面目だ(笑)」

トカレフを壁に敷き詰め熱帯夜/とみ

「ガンマニアだね。山小屋とか」

カラシニコフ撃ってなんぼRPG/ごとう

「六本木って読むんだよ」「RPG(笑)」

小五までロケット花火が最強だ/翼

「いいですね」「小6からはなに?チャカ?」(笑)

ギンギラのメリケンサックで西瓜割る/夢の二

(笑)

短冊に平和願わぬゼレンスキー/小佐治

「そりゃそうだね」「武器の名前がないよ」「ゼレンスキーなんじゃない?」

包丁でヤクザを刺して明易し/遊鬼

(爆所)「明易しがいい」「家族殺されるなあって(笑)」

パチンコを取り上げらるる夏期講座/企鵝

「これゴムのほうのパチンコですね」

てへぺろと拳一つで生きる夏/みずな

「なるほど。これいいんじゃない?」

特殊警棒見せられてゐる夏祭/たろりずむ

(笑)「いいですね(笑)」「何やったんだよ」

トカレフがいつぱい出てくる海の家/ハル

「砂浜じゃないからなあ」

日本語を知らぬふりして青龍刀/龍

(笑)「28年くらい前にあった。チャイニーズマフィアが振り回して」

教室の陰口全部知る向日葵/ゆり子

「武器は?」「陰口?」「殺傷能力がある」

安倍さんへ水鉄砲のつもりでした/翼

(爆笑)

脳殺パンチメロメロの晋三忌/こゆき

(笑)「昭和感が(笑)」

長刀が祭の中を進みをり/小川まこと

「これ面白い。ぴょこんと出ていて。神事に使うからね」

コスプレでドスを合わせる紺浴衣/遊鬼

「普通かなあ」

ブーメラン舞つて明るい大選挙/小川まこと

「大選挙ってなんだろう。衆議院選挙かな」

手始めの散弾銃や西瓜割り/翼

「食べれなくなっちゃうよ(笑)種かと思ったら弾丸でした」

鉄砲玉になつた青年河童の忌/遊鬼

「龍之介」「18くらいの」「間違って撃ったら鉄砲玉だった」

三島さんの日本刀になりたかつたな/夢の二

(笑)「ホモ句でした」

剣山のような罵倒が流れ来る/小川まこと

「これは普通じゃないかな」

木刀が今では杖になる炎暑/翼

「老人になってしまった」

原爆をロシアに落とす炎暑かな/遊鬼

(笑)「こっちの炎暑がいいな(笑)」

キン肉バスターで見る天の川/こゆき

(爆笑)「面白い」「筋肉バスターされて見ている天の川」

ビニールの棍棒持つて豹ビキニ/翼

「棍棒がビニール?海の情景ですね」

以上で終了です!!最後までお読みいただきありがとうございました!!

編集:屍句会報編集部 小佐治、桃猫
文責:木内龍

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