屍句会報2021年2月5日（金）

俳人北大路翼が家元をつとめる俳句一派・屍（しかばね）派

こちらは新宿歌舞伎町「砂の城」で毎週金曜夜の屍句会の聴き書きです。

屍句会の特色はその場で題を出し5分～15分以内に投句。

句を読み上げその場で評や感想を語り合うスピードと調べを重視した句会です。

YouTubeで披講動画をUPしています。

アナログとデジタルの融合、現代の俳句のあり方を提案する屍派の句会をお気軽に覗いてください。

零回戦は参加費無料。

Zoomや投句フォームを使って外部からの参加もOK（一回1000円。後払い可）

一回戦「にん」の音

◇五人中四人が女磯遊び　　翼

「森と逆」(笑)「時間がかかるってこと？」

◇花冷えの肩に人魚の歯形かな　　初穂

「まだ春になったばかりだから早いな。いい句だからまた後で」

◇春の海流人が浜に五千人　　けいえむ

(笑)

◇死人でも会費払えば遠足に　　翼

「屍修学旅行・笑」「遺影を抱いて修学旅行へ」

◇朝むくみ顔認証が定まらぬ　　

「朝むくみじゃなくて春はあけぼのとか入れたらいいんじゃない？」

◇認可外保育所の窓春灯　　初穂

「無認可のちょっと高価な保育園」「外から見てる感じ」

◇担当が新入社員の浪人生　　遊鬼

「よく分からない？」作者より「予備校でベテランが担当してくれていたけど浪人したら新入社員担当になっっちゃった」「あーそういうことか」

◇残忍なまでに散らして山椿　　ゆり子

「残忍だとストレートな表現」「藤の花とかだといいな」

◇歩道橋越せぬ妊婦の春日傘　　　喜奈子

「妊婦の自分が階段で春日傘の人を追い越せないのか」

◇「堪忍な」を三度許して春の猫　　　ゆり子

「何度も許しちゃうゆるい女」「を、はなくていいね」

◇人参食べられないでちゅう　　風の日の扉

(笑)「育ちのいい鼠なんだな」

◇担任の横に座れる遠足バス　　遊鬼

「担任の横に座らされたって意味かな」「語順変えたらいいかも」

◇春人参のスティックに小一時間　　響子

「幼児虐待。昼休みまでかけたらだめ」

◇春闘や自動屁当を認可せよ　　いもとやへえ

(笑)「多分、自動は児童の間違いなんろうけど勝手に屁が出る・笑」

◇棒人間なら描けるんですけど　　風の日の扉

「絵心がない人」

◇妊娠をしていた入学式の午後　　龍

「午前中は何やってんだコイツ・笑」「某Y高校は共学になってから妊娠騒動がひどい」

◇二人羽織で胸を揉む 　　風の日の扉

（爆笑）「昭和のテレビだよね」

◇五年ぶり三人来たる新社員　　喜奈子

「中小企業は不景気で大企業が採用を絞ると来るからね」「上手い」

◇担任が笑って揉み消す写真かな　龍

「担任がキャバクラ？生徒とホテルから出てきた」

◇人参の股裂けてくる春休み　　翼

「男大根、女大根？春休みがよく分かんない」「子どもは人参食べないんだよ」

◇妊活のノートをつける春炬燵　　遊鬼

「妊娠活動」「任侠活動かと思った・笑」「春炬燵がいいね」「40代カップルの感じ」

◇にんにく注射に頼るしかないな　風の日の扉

「分かる。2、3年前そうだった」

◇伊賀忍者三人も来る梅見茶屋　　甲村健一

（爆笑）「伊賀ってバレてる・笑」「最近訓練厳しくね？とか」「この梅見茶屋は馬鹿らしくて面白い」「本物じゃなくてセットかも」

◇多喜二忌や本人確認書類失す 　　遊鬼

（失す…うす）「闇金に取られたのかな。本人は心当たりあるんじゃない」

◇風車ならぬ堪忍せぬ堪忍　　甲村健一

「せぬ、に能動的な意思があるね」「風車面白いかも」「風がコントロールできない感じ」

◇彼女の部屋にある『人間革命』　　風の日の扉

（爆笑）「セックスが終わって彼女の本棚を見たら人間革命があった。面白い」

◇花札をやめて任天堂うらら　　翼

「花札は任天堂が独占状態だったけど任天堂が撤退」

◇他人だが卒業式に出席す　　桃猫

「親がいないからレンタルパパみたいな？」「離婚しても卒業式だけ出席する」「あーそういうことね」

◇囀りを確認し合う老夫婦　　翼

「さっき聴こえたよね」「今鳴いた？鳴いたよね」「頭も耳も悪くなってきたから」「…頭悪いとは言ってないよ」(笑)

◇任期中は気配を消して木の芽時　　初穂

「政治家が目立つとスキャンダルになるから気配を消す」「木の芽時もいいけど蕗の薹にしてもいいね」

◇妊婦教室ひけた時間の春のバス　　響子

「妊婦さん向けの講座。ヒ、ヒ、フーみたいな」「春のバスは無理があるけど空気が面白いね。時間に着目している」

◇薄氷や避妊失敗することも　　翼

「0.01を使っている・笑」「サガミのウスライってありそう・笑」

◇春の星飛蝗を採りにンジャメナ　　けいえむ

「アフリカ大陸チャド共和国の首都。ンではじまる都市で有名」「…景がデタラメだろ・笑」「ばれました？」

◇任意てふ圧力をかく雀の子

「かく？」「圧力をかけるのか書くのか」

◇ぶらんこに捨てられている認知症　　翼

（爆笑）「捨てられたわけじゃないけど徘徊のおじいちゃんがぶらんこにいるのがそう見えたんだろうな…はい、また世に出せない句・笑」「出せるだろ。これは愛があるだろ・笑」

◇妊娠線隠しきれない春の閨　　小佐治

「ねや？」「ベッドルームだよ」「妊娠とベッドルームでは素直すぎる」

◇解任の知らせを聞きて朝寝かな　　甲村健一

「森が辞めたとか」「素直すぎるかな」「知らせじゃなくて噂くらいがいいよ」「森部活辞めたってよ」（爆笑）

◇人間に戻りたがっている浅蜊　　安野ゆり子

「浅利はなんでも合っちゃうから40点くらい」

◇マスク二枚重ねているよ浪人生　　翼

（旅人生と書かれている）「浪人生って書いたんだよ」「どう見てもサンズイじゃないよ」（その場で直す）「あ、狼になっちゃった。おおかみじんせい」（爆笑）

◇堪忍してそうはさせるか木の芽時　　小佐治

「歌舞伎の三流芝居？」(笑)

◇刀振る任侠野郎冴返る　　初穂

「うーん」「全部イマイチ・笑」「真ん中を大根役者にする？」

◇春めきて単身赴任の父の文字　　響子

「親父から手紙が来た。ラインでいいのに。現代においては、文字、が効いてる」

◇春燈や誤認逮捕のガラ受けに　遊鬼

「身柄引き受け」「誤認だったら身柄引き受けいらないんじゃない？」「後で発覚したんじゃない？」

　◇妊活を夫は知らざり山笑う　　小佐治

「山笑うが擬人化すぎているからもっと家庭的な季語がいい」

◇妊婦には屁だすけの席譲る春　　いもとやへえ

(笑)「おならがしやすい席？」

◇カンニングバレて卒業式一人　　龍

「さっぱりしてるけどあるよ」

◇義理人情回春屁コキ漁夫募る　　いもとやへえ

(笑)「わかんねーよ」「渡り漁夫の傍題」「やっぱわからん・笑」

◇急に小声になる主任　　風の日の扉

（爆笑）「陽性が出ました・笑」

◇初任給明細を見る木の芽和へ　　遊鬼

「初任給明細のごと木の芽和へがいいと思うよ」「あーいいね」「小ささが合う」

◇カンニング竹山が好き春の昼　　桃猫

「観る番組選んでるだけだよ・笑」

◇晩御飯人気の出ない小皿　　けいえむ

「お母さんが作っても食べない」

◇忍法は使えなくても春の水

「雪解で水が流れる」「忍者は水の上にいる感じがするじゃん」

◇春来る夫嫌がる不妊治療　　けいえむ

「春が来てない・笑」「夫の隠し子がばれるくらいがいいよ」

◇梅が香に隠れて忍者の里のあり　　翼

「鬼滅は藤の花だっけ？」

◇人非人（にんぴにん）言われ居直る猫の恋　　小佐治

「猫の恋かなあ？笑」

◇ロサ会館の任侠映画で眠る午後　　響子

「池袋の西口。映画がつまらないんだね」「仕事さぼって西口へ」

◇伊勢参り任侠映画のエキストラ　　けいえむ

「ああ、ありそう」「伊勢神宮って駅から遠いんだよね。エキストラ頼まれて、こっち見ないで、と言われて・笑」

◇春の宵人間だもの恋しちゃう　　けいえむ

「みつをにかけてる・笑」「可愛い」

二回戦　「ココ」の音　

◇ロココ調の器に盛りし木の芽和へ　　遊鬼

「ごちゃごちゃした器」「貝類がいいよ。田螺和えとか・笑」

◇春の闇振ったじゃがりこ粉々に　　けいえむ

「ランドセルの中？」「自分でやったのかなあ」

◇春霞こここ殺すと後ずさる　　翼

（爆笑）「蒼天の拳霞拳志郎のイメージ」 

◇個々人の意見も霞む森の声　　小佐治

「森さんの声のことでしょう」

◇ココア飲む唇ぬると光り出す　初穂

「ホイップクリームをちゃんと入れてるココア」

◇ココナッツ柄のスカートめくる春

(笑)「50過ぎの婆」

◇身長が伸びたココミや春の風　　翼

(笑）「翼！」（手を挙げる）「言われなくても分かってた・笑」「どんどん大きくなって…」

◇屁のとどく高さはここよ風信子　　いもとやへえ

「ヒヤシンスが可哀そう」「黄色くなりそう」「確か、さだまさしがこの字を流行らせたんだよ」

◇ここ、そこそこそこ！あっふーん　　風の日の扉

(爆笑)「コピー機の無駄だよ」「インクの無駄だよ」「家で言ってろ送ってくるんじゃねぇ」（爆笑）

◇待ち合わせ見つけられないココストア

「ココストアってコンビニ？」「田舎のコンビニがなくなってたんだね」

◇古今亭志ん生を聴く蕨餅　　遊鬼

「上手いなあ」「よく出てきたねさすが」

◇春心地花の香りのバブ入れて　　かむろ坂喜奈子

◇人類も古今東西春の猫　　龍

「老人が言いそうだな」「老人はこんなこと言わない・笑」

◇ここでカツアゲにあったなあ　　風の日の扉

（爆笑）「横浜において」「階段見るたび思う」

◇タピオカとナタデココ入り甘茶です　　桃猫

「いいね甘茶」

◇ココイチのカレーをこぼす春日向　　初穂

「ココイチじゃなくてもいい・笑」「春日向だからベンチでテイクアウトかな」

◇チャーハンにゴキブリここは高円寺　　初穂

（爆笑）「強引でいい」「店に一句書いてくださいと言われたらそれ書いてやろう」

◇愛猫の名前の由来ココ・シャネル　　響子

「なんでココなの？って聞かれてシャネルが好きだから」

◇ここいらで殿の印籠うららけし

（爆笑）「いいね」「ひとまず暴力したしここいらで・笑」

◇由美子ココミ蜜柑、あ　　風の日の扉

（爆笑）「すごい」「飛ばすなあ」

◇ここいらで止める検査や春の風

「PCR検査？」「濃厚接触者探し？」「春の風が合っているかどうか」「水ぬるむとか」

◇志半ばで倒れる春登山　　小佐治

「遭難句・笑」「角川源義の句の本歌取りとしたら面白い」

◇ここへ来てまさか今さら花粉症　　かむろ坂喜奈子

「結構年とってからなるからね」「言い方がくどい・笑」

◇ここだけは安全ですと春の蠅　　小川まこと

「シンクの裏が安全と蠅が知っている。面白い」「蠅だと嫌味が強いから春の蝶みたいに可愛くしたら？」「それだと歌舞伎町っぽくなる」「蜆蝶くらいなら」

◇春の風邪あんこ捏ねたら治るらし　　桃猫

「自分があんこ捏ねたら治る？おばあちゃんの知恵袋？」

◇ナタデココ選り分けている春の宵　　安野ゆり子

「先に食べたいのかな」「集合恐怖症トライポフォビア」

◇花疲れココスのお茶が多すぎる　　桃猫

「ファミレスのココス。お茶の種類が多いとめんどくさい」「ローズヒップ・笑」「花疲れがいい」

◇「ここにカツラ置いたの誰！」　　風の日の扉

（爆笑）「どういうシチュエーション・笑」「毛の塊がある」」「ありそうでないところの狙いが絶妙」

◇ここんとこ毎食食べてる桜餅　　　遊鬼　

「和菓子屋の店員？」

◇ここの沁み私の液か君の液　　きもと

「沁みは液体だからなあ」「ステーションの駅にしたらいい」「ピロートークで黒子を指してさあ」

◇三色菫ここまで津波が来た　　翼

「津波が来たところに明治何年の言葉があるんだ」

◇春の海港のヨーコ恋焦がれ

♪みなとのよーこよーこはまよこすか～

◇此処でしか採れない色の桜貝　　翼

「どんな色だろうね」

◇お局に心ばかりの雛あられ　　響子

「あまりあげたくないけどの感じ」「悪くない」

◇ここはどこ私はだあれ春夕焼　　けいえむ

「ファンタジーに飛びすぎかな」「俺、同じような句を作ったのでノーコメント・笑」

◇雀の子こらこらそこは俺の寝床　　小佐治

（爆笑）「なんで外なんだ・笑」「山頭火か」「俺の席くらいがいい。窓際族」

◇ここからは冷やで鱈の芽あがりたる　　翼

「シブイ」「美味しそうだけどほかの人が作ったらレシピ俳句とか言って馬鹿にする」（爆笑）「誰が作ったかが大事なんだ！・笑」

◇ココット皿に浸した種が窓際に　　遊鬼

「浅めの玉子とか焼く皿」「あれココット皿って言うんだ」

◇セフレから志の海苔貰う　　ダリア220

（爆笑）「寸志とか」「俺、海苔食わないからやるよ・笑」「香典返しのやつ」

◇笑ったら屁が出ちゃったココミ　　風の日の扉

（爆笑）「ココミはしません！・笑」

◇賞味切れ捨てるココア缶の重さ　　響子

「賞味切れ？期限切れ？」「ココアの重さは分かるなあ」

◇お汁粉こんなつがなくていいのに　　小川まこと

（爆笑）「子どもの感じだよね」「味噌汁の椀に満たんにつがれると気持ち悪くなっちゃう」

◇此処はどこ?極楽と見紛ういぬふぐり　　安野ゆり子

「原っぱにいぬふぐりがいっぱい生えてる」「悪くない」「淡いブルーが極楽な感じ」

◇まんじゅうを九つ下さい春の風邪　　甲村健一

（爆笑）「雑な作り・笑」「饅頭怖いのやつ？」「ナンセンスで理屈がないのが面白い」

◇「こころ」読む春の憂いの溢るる夜　　桃猫

「漱石？」「うーん」

◇ここから壱萬円だけどどうする？

(笑)「ここから本番だけどどうする？・笑」

◇遠足に行かずココミに逢いに行く　　翼

「はい。いい句だなあ。気持ちが入っている」

◇あ、ここ由美子先生の席だから　　風の日の扉

（爆笑）「由美子愛が」

◇ファントミになるかもしれぬ新入生　　翼

「ココはどこ？」「ココミだよ。あ、入ってなかった」（爆笑）

◇読めてしまった地上（ここ）より永遠に　　響子

「映画です」「ストーリーが推測できるっていう意味？」「本気と書いてマジと読むみたいな」「地上と書いてここと読むっていいね」

◇ここはどこ？私は誰？しゃぼん玉　　翼

（爆笑）「やってしまった」

◇蕗の薹ここからつくし

「原っぱの説明・笑」「五七できているから俺の基地とか足したら」「犬の墓なんていいね」「おーいいね！」「老犬っぽい。急に良い句になった」

◇紅梅と白梅混ぜてココミ色　　翼

（爆笑）「よく分からん・笑」「ピンク」「季語はいると思って・笑」

◇心無い人と言われて春の野で　　小佐治

「止め方が上手くいってないかもしれないけど試みは面白い」

◇冴返る此処で会ったが百年目　　初穂

(笑)「この冴返るは合ってないな～」

◇欲しければここまでおいで春の海　　甲村健一

「春の星の方がかっこいいなあ」

◇新社員ここから先は猿芝居　　けいえむ

「これはマナー講習とかの皮肉かな」「厚生省の秘書」

◇ココイチとマクドナルドで春うらら　　木内龍

「悪くないけどもっと組み合わせはあるかも」「龍です」「お前の生活じゃないか・笑」

◇心当たりなき妊娠や夏みかん　　遊鬼

「怖いなあ」「季語が合いすぎているかも」

◇余寒ありココア片手に呪詛返し　　けいえむ

(笑)「なんだろうね」「色々バラバラで・笑」

◇志問はれてをりぬ木瓜の花　　遊鬼

「季語が効いている。良いと思うよ」

◇ココイチのカレーは甘口春の昼　　甲村健一

(笑)「これはメニュー俳句・笑」「ココイチのカレーは辛いんだよな」「春の昼だとランチですねになる・笑」

◇味わい飯作る女はここにいらん　　黒猫

「あじわいめし？不味い飯の間違いかな」「美味しそうじゃないか・笑」

◇夢の中ここにはない良き快楽　　黒猫

「良い夢を見てるのかな」

◇二日酔いランチはここの蜆汁　　かむろ坂喜奈子

「いいね」「朝じゃないの？」「昼の蜆汁？」「場所はどこだろうねえ」「ここでがいいんじゃない？」「コンビニ感」

◇いつまでもここにいたいと願う春　黒猫

「これ囚人の句だったら面白いよね」「万引き老人とかさ」

◇おかまバー個々の主張がスプリング

「スプリング、なんだろうね」「ルー大柴みたいな？笑」（爆笑）「懐かしい」「主張がスプリングだよ！」

◇ここからはあと一萬よ春の闇　　小佐治

(笑)「かぶっちゃった」「こっちの方がいいな」

◇ここからは大人の時間雛祭り　　翼

「いいんじゃない？子ども寝かせて親父はお酒」「甘酒ですよ」

二回戦終了～～！最後まで読んでくださってありがとうございました。