りぼん句会報2024年1月12日(金)

零回戦の正解は 「雪だるま」

お寺の外の雪達磨が崩れるほど激しい喝だったのかもしれない。座禅の棒は痛棒(つうぼう)。

ぽっぽさん(回答:雪達磨) お見事!!正解!!

一回戦は八代亜紀追悼で『舟唄』の歌詞より。

八代亜紀『舟唄』

一回戦 しみじみ

(★=特選)

しみじみと漱石ばかりのお年玉/翼

「これわかるんだよねえ。茶色か緑かっていうところで高額か低額かが最初にわかる。最初の一瞬で茶色が出たときの脳汁の量。緑が3枚なのか茶色が1枚なのかによって脳味噌がパチンコになる」「安めが来た、また単発かよって」「今は千円札は野口英世かな、昔は夏目漱石でしたんで、より黄緑に近い色でしたね。だから緑が目立った、そこでしみじみというのがわかりますね。ただ、わかるで止まるかな」「古いって意味もある。クシャクシャの古い千円札ばっかだったっていう」

ケツの穴ほじくりながらしみじみと/仙葉

(笑)「不愉快だ」

年惜しみ滋味ある芋粥を啜る/海音寺ジョー

「滋味ってなんですか?」「栄養ってこと」「しみじみ、うまく入れてきましたね。テクニカル賞だと思う」

大量の河豚刺し自民へ届けるつてよ/みずな

「み、がない。微妙にレギュレーション違反ですね」「ふぐ刺身、だったら」「言ってることはわかりますね」

しみじみと地味な女とおでん酒/ぽっぽ

「地味な女、とおでん酒、を重ねちゃってるからどっちか変えてほしい」「裏切ったほうが面白いと思う。裏切るか絞るかしないといけないんだけど、裏切ったほうがいいかな。ブスだけどなにかがうまいとか金持ってるとか。句のままだと全部下の下の下じゃん」「地味が下かって言うと」「いや地味はほめてねえだろ。ブスな女とまで言わないけどいい女ではない」「ブスって言えないときに言うんだよ。つまんない男は優しそうって言う」「キャバ嬢の万能ほめ言葉(笑)」

清水くんのチョッキが地味だな/風の日の扉

(爆笑)「しみ、とじみ、が分かれてんだね。分かれちゃダメです」「勝手にルール変えてんじゃねえよ(笑)」「防弾チョッキとかのチョッキ。チョッキって言葉ほぼ遣わないですね」「昔の人は上着のこと全部チョッキって言う」「チョッキなのかベストなのか」「スーツの中に着るジレ、そういうのも言うのかな」

お御籤のお産の項目しみじみと/小佐治

「難しいなあ」「40過ぎの女が作ってる。高齢出産の」「そのとおりって感じだよ。しみじみと、の位置はよくないんじゃないかな」「しみじみと、ってババくさいんだよな」「切れが悪いんだよね全体的に」「しみじみと、っていう言葉を最後に持ってくるのは相当難しいと思いますよ。しみじみと見る、とか動詞を省略してるんだと思うんですけど。言ってることはわかる。40歳くらいでもう私妊娠できない身体なのかな、他人の精子もらおうかなって、そういうことを考えてる感じ」

しみじみとカンニングのコツを伝授/海音寺ジョー

「しみじみ、の意味がわかんない」「カンニングで俺は大学出たとかそういうこと?」「これは無理だろ。このしみじみ、の意味がわからない」「ごくまれにカンニングでその年の単位0になるって話があるけど、本当にいるんですかねそういう人」「今はそれこそスマホだったり電磁波カンニングだったり」「もはや試験の意味がないそこまで行くと」「カンニングって昔映画でありましたよね。あれすごい面白かった気がする。安室ちゃんとか出てませんでしたっけ」

※『ザ・カンニングIQ=0』は1980年製作のフランス映画。1996年にはよく似た日本映画『That’sカンニング! 史上最大の作戦?』が、安室奈美恵、山口達也(当時TOKIO)主演で公開された。

しみじみと飛んで白鳥消え去りぬ/小川

「飛んで、がいらないかなあ。消え去る、としみじみ、はすごくいいと思うけど飛んで、で急にしみじみ感がなくなるから。飛んで消え去る、がくどいな」

★しみじみと雪の高さを見てをりぬ/翼

「けっこういいじゃないすか。雪の高さ、っていうフレーズがいいかな。形がない感じが雪のイメージとマッチする感じがする。雪の高さっていう不定形な感じがすごく合ってる」「読み飛ばしちゃいそうだけどいい句だな」「本歌取りなんだよ。いくたびも雪の深さを尋ねけり/正岡子規の逆のパターンで書いたんだよ。あれがけっこうベースにあった」「そっちのほうが圧倒的にいいな、しょうがないけど。でもいいよな。雪が道の両側にあった、4.5mとかあるとこあるじゃん」「能登半島地震とか前書きつけたいね。半分埋まってる人とか避難してる人たちの」

しみじみと抜いた鼻毛の白髪見る/小佐治

「わかりやす過ぎるな」「言葉が多い気がするな」「白髪がドンピシャ過ぎるよ」「三分の一の白髪とかちょっとずらしたほうがいいかな。このままだと鼻毛を抜いたら白かったって、裏切りがないんですよ。ストレート過ぎますね。難しいとこですね、日記になっちゃいますね」

しみじみと飲み過ごしたる寝酒かな/遊鬼

「飲み過ごした、と寝酒、が一緒かな」「2個入れなくていいじゃん」「酒飲んで寝てるだけだよこの人」(笑)「ちょっと面白いんだけど、ただ飲んでるだけより老いを感じたほうが。たとえば、しみじみと射精に至らぬ寝酒かな、って言ったりちょっとずらしたほうがいい気がするな。しみじみと一人の寝酒と哀しさを入れたほうがいいと思いますね」「老ゐて寝酒に浸りたる、とか」「浸らなくていいんだよ。ただ一人で寝酒をしてるっていうその寂しさを」「嗜みぬ、とか」「これ、酒飲まない人の句だな。いいかげんな気がする」

しみじみと眺めて狐火の消へる/ときこ

「あー」「消へる、がどうだろう」「消へる、が怪しいんだよな。眺める、は動詞として必要だと思う。狐火っていうのはぼんやり浮かんだ火、それを眺めてるのまでは確定なので」「場面を描写したほうがいいのかな」「動いて燃え尽きるくらいを詠むか」「いやまったく別のものを詠んでも。窓の外、森の辺りを見たら、あれが噂に聞いてた狐火かあって。狐火じゃないかもしれないけれど、怪しい発光現象を狐火と総じて呼ぶなら、なんか怪しい光が外に見えて。今のままだとなんか惜しいんですよね」「オチがついちゃったみたいな」「時間の経過言わないほうがいいと思うなあ。狐火は見てるうちに消えるイメージだから消へる、まで言わなくても。狐火の動きを言ったほうがいいと思うな」「狐火が飛ぶとか回るとか前後左右に動くとか、狐火のアクションが欲しいかもしれない」「どこか向かったらいいんじゃない狐火が。火事はダメだけど。村を離れた、くらいの」「しみじみと狐火村を離れたる、いいですね」「ホワーッといなくなる感じ」「村長死んだのかなとかいろんなことを思わせる」「町じゃなくて村、がいいですね」「今騒がれてる限界集落の感じが出ますね」

しみじみとぶら下がりたる鮫の顎/企鵝

「おーなるほど」「しみじみと、がもう鮫が死んでるってことだよね」「鮫のあごがぶら下がっているか、鮫のあごにぶら下がっているかなんだけど、おそらく鮫のあごの骨が外れていると取るか」「自分がぶら下がっているのかと思った」「博物館の化石コーナーで1000年前の鮫の化石ですって展示されてて、そこに子どもがぶら下がってるのかと思ったんですけど。たぶんあごが外れて口がパかッと開いてる鮫を詠んだんじゃないかな」「誤読しがちだな。どうすりゃいいんだろ」「これだけだといろんな取り方ができるんですけど。ところで鮫って冬の季語なんですね。なにが冬なのかよくわかんないんですけど、鮫が食べ時ってことですか? 冬に鮫がよく獲れるんですかね? しみじみ、をここで遣ってきたのは、意欲作な感じするんですよ。なんかよくなりそうな感じするんですけど」「垂れ下がる、だと100%わかるんだけど。ぶら下がる、だと自分の動作になっちゃう。どっちを言いたいのか聞いてみたいな。子どもがぶら下がってるの面白いかなと思って」

※鮫が冬の季語である理由は『きごさい歳時記』によれば「大型で獰猛(どうもう)なことから、冬の季語に入れられている」と、よくわからない説明。鮫眠るそんなことにも驚く夏/金子兜太など、鮫を季語として用いていない句も多いようです。

頬に染み地味な女と雪の宿/たろりずむ

(笑)「てんこ盛り感があるような気がする。くどいなあ」「地味な女、は無理だなあ」

蜆汁?すまし汁?あーなめこ汁ね/風の日の扉

(笑)「シジミとナメコ間違えるわけないだろ」「しみじみ、もちゃんと入ってないし」「反則負けだよ」

しみじみと店長がまた武勇伝/海音寺ジョー

「うまいと思うけどね。季語がないのはどう取るか。武勇伝、って夏っぽく感じちゃうけどね。夏休みにバイクでとか」「祭の日とか」「武勇伝ってしみじみとしゃべるかな」「だから面白いんだよ。時代は変わってもやってること変わんないなってのをしみじみと感じるんだよ。俺の若い頃はって50歳の店長が言う、時代は変わらないなって思う」「しゃべってるほうがしみじみしてるほうがいいな、聞いてるほうじゃなくて、俺の頃はって」「悟った感じで」「人力車盗んだよとか」(笑)「また、って言ってるから店長っぽくないんだよな。嫌がってる感じがする」「武勇伝としみじみ、は使えると思うけどね、組み合わせとして。別のシチュエーションで」

しみじみと昭和の遠しおでん酒/桃猫

「闘士、かと思った。闘う人だったらいいなって。しみじみ、と遠し、はダメだな」「近し、のほうがいい」「逆にね」「しみじみと昭和は近しおでん酒、だったらいい。もう40年近く経ってしまっているけれど、逆に面白いか。遠し、だと明治でもいいし江戸時代でもいいことになっちゃう」「黒電話が50年前だって書いてあって、俺の頃普通だったのにもう50年前なのって」「黒電話、公文式でしか見たことないですよ」

駅伝の結果を語るしみじみと/翼

「高齢者、テレビを観てる人かな」「しみじみと語る、ってなんでだろうね」「山梨学院の留学生がいないなって」「時代の移り変わりを」「しみじみと、は微妙なとこだね。あんまり合わない気がするな」「昔ランナーだった人とか」

すみずみまで効くゴキブリにバルサン🎵/風の日の扉

(笑)「しみじみじゃないよ、すみずみだよ」「なんだよこれ」

しみじみと弔電を打つ黒電話/たろりずむ

「おータイミングいいですね」「季感がちょっとないかな」「弔電ってなに?」「葬式に電報を打つこと。電話をかけて、どこどこの誰兵衛さんが亡くなったので電報お願いしますって。電報ってなくなったのかな。黒電話でしみじみと、のイメージを出し過ぎちゃった。令和6年の句だとしても昔の句だとしてもつまんない。ポケベルを打ってたほうがいいね、ポケベルを打つ黒電話って時代がまったく意味わからなくなる。理論上できるけどね」「たろりずむさんより。黒電話、金正恩のつもりでした笑」「あいつ新潟も韓国だって思ってるから」

※電報サービスはNTTやKDDIがまだ実施しています。また日本郵便でもレタックスによる同様のサービスを行っています。

しみじみと屁の匂い満つ六畳間/小佐治

「わかり過ぎるんじゃないですか?」「満つ前に散るだろうってツッコミをしたくなる」「『ガロ』系の漫画ってそういうシーンがよくある」「漫画っぽい」「言ってることは面白いけどな」

※『ガロ』は2002年頃まで出版されていた漫画雑誌。蛭子能収、つげ義春、東陽片岡、ねこぢる、根本敬、花輪和一、丸尾末広など個性的な作家を多く起用した。

しみじみと火種に息を吹きかける/仙葉

「おー」「このしみじみ、いいんじゃないですか。しみじみって非常に難しい言葉だけど。しみじみって言葉自体でその気持ちがけっこう出ちゃうんですよね。だからそれ以上の情報入れちゃいけないんだけど、火種に息を吹きかけるってのは」「しみじみ、効いてるよね」「寒さが出てる。しみじみの遣い方としては成功してる。あいつの命のロウソクだよ」(笑)

しみじみと鬼が節分待つてゐる/小川

「お」「待ってないと思うよ」「鬼が節分待っているは初めて聞きましたね」「しみじみ、じゃないと思うけどなあ。鬼が節分待っているは悪くないけど」「アマゾンや、とかドン・キホーテは? ドン・キホーテ鬼が節分待つてゐる(笑)。鬼が節分待っているは面白いけどね。やっと人前に出られるっていう感じ。しみじみ、は合ってないかもしれないけど」「うきうきと。馬鹿っぽい感じ。しみじみの反対はうきうきじゃない? しみじみの対義語ってなんだろう」「わくわく?」「きゅんきゅん」

しみじみとお婆ちゃんのおむつの滲(し)み/海音寺ジョー

(笑)「僕は好きだけど」「滲み滲みだよ」「これ絶対本物見てないだろ」「海音寺ジョー。見てました」「見ていて逆に、かな」「こういうところで働いてると、人間の最後の姿を見るってのはしみじみ合ってるんじゃないかな。この人も若い頃は偉かったんだろうな、どこかの社長してたんだろうな、なんて思いながらおむつ替えてたり。あと10年生きないような人のを」「ポップなんだよな言い方が」「内容は重たいんだけど」

しみじみと眺めてゐたる放火犯/たろりずむ

「わかるけど」「当たり前なんだけど、しみじみ、と放火犯は合っていると思います。眺めてゐたる、が面白くないと思うんですよね」「キャバ嬢と見てゐるライバル店の火事、をゆるくした感じでしょ」「放火犯が眺めるのはかなり当たり前のことだから、少しずらしたほうがいいんだよなあ。しみじみと消火手伝ふ放火犯、とか意味わかんないこと言ったほうがいいかな」「やっちゃった後みんなと一緒になって」「自分の付け火だと思いながら。で、おばあさんが死んだりしてさ、え、殺すつもりなかったのにって」「しみじみと腕を組みたる放火犯。眺めるを違う動作にしたらいいんじゃないの」

しみじみと舞台を拭ひ能始/遊鬼

「しみじみ、がやり過ぎだな」「舞台をぬぐうって行為自体は学生時代にやったことがあって、カラ雑巾でほこりをぬぐうんですよ。濡れた雑巾でやる場合もあるかもしれないけれど。しみじみがあんまり効いてない感じがするんですよ」「自分をほめ過ぎだよ」「だから引っかかるのか」「謙遜の気持ちがないんだよ」(笑)

届きたる賀状は二枚しみじみ見る/小佐治

「最後が」「しみじみと、でいいと思うし、それ自体がつまんねえなあ。友達の少なさとか詠んでるんだと思うけど、でもつまんないんだよな」「最近、年々年賀状が減るみたいな句いっぱいあるからね。年寄りはみんな作り出すから」「このしみじみ、は扱い方がよくないと思います」

田作りをしみじみと噛む乳歯かな/ときこ

(笑)「面白いかも。乳歯、は飛んだねえ。田作りってのは小魚ですね、小さい煮干しみたいなヤツを甘く煮た感じ。正月の縁起物ですね。誰が言ってるかなんだけど、おじいちゃんが孫に食わせて、お前歯生えたろ田作り食えってあげてる、そこで乳歯に感動している。わかるって言えばわかるんだけど」「言葉が全部ナマい。全部原材料で並べちゃってるから」「面白いね、赤ん坊がしみじみしてる」

Wikipediaより田作り(ごまめ、ことのばら) 撮影:A10ml

しみじみと尿器の匂う寒見舞/企鵝

「尿器…寝たまま小便をするのに用いる容器、尿瓶(しびん)。寒い日に高齢の自宅に行ったらおしっこの匂いがしたと」「わかるけどね」「しみじみ、にダイレクトな哀しさを入れちゃつまんないと思う」「負荷をかけ過ぎだな、言葉に」

しみじみと負けを認める寝酒かな/桃猫

「素直過ぎるなあ」「自分を茶化してるのがくどい感じがする」「ナルシシズムがかいま見える」「本当は悔しいんだろお前って」「負けを認める俺は大人でカッコいいって、そういう気持ちが見えちゃう」「かまってちゃんな感じ。カッコよくはないんだよねえ」「負けを認めないほうがいいけどね。だったらしみじみと、と合わないし難しいですね」「負けてしまひぬ、だったらもっとね」「桃猫さんこれなんの負けのイメージですか?」「翼さんが『あし俳』で80歳のおばあちゃんより低い点数出したので」(笑)

※ツバサーニャさんは1月7日松山市で行われた『あしらの俳句甲子園』(あし俳)に参加してきました。

背蒲団精子のしみじみ残るまま/小佐治

「背蒲団(せなぶとん)ってなんですか?」「背中に布団かけることじゃなかったっけ。背蒲団…防寒のために背中に負う小さな蒲団のこと、ひもを回して動いてもずり落ちないようにする。じゃ外に着てくものだったのか。これ背蒲団の意味が違うんじゃない(笑)」

しみじみと弄られたる炬燵かな/遊鬼

「いじる、じゃ音が合わないなあ。弄はもてあそぶ、いじる、いじくる、まさぐる、いらう、あなどる、たわむれる、読み方メチャクチャいっぱいあるな。そうするといじくる、だな。ホモ句って感じがするな、あるいは少女だよね。すねとか指先とかポコチンとかをこう」「でもしみじみ、ってついてるから年食ってそうな感じしますよね」「だから50歳と15歳って感じ」「でも弄られるほうでしょう?」「だから弄られるのがうれしいんだろうね」「15歳が弄ってくるってこと?」「ああ、15歳の少年がおじさんの脚を弄る、そういうこと? しみじみ、悪くないと思うけどなあ」

松過のケチャップしみじみと舐める/ときこ

「おー。松すぎって1月7日過ぎかな東京だと。松すぎの意味がないんじゃないかな。去年買ったケチャップをなめる…」「松すぎだとそういうジャンキーなもの食いますよ」「そうか! 松すぎたからマクドナルドに行ける、そういうことか」「でも、だとしたらしみじみ、が合わない」「そうすると松過ぎのチキンナゲット頬張りぬ、でよかったよね。ケチャップをしみじみとなめるっていうのはどういうことを言ってるんだろう? しみじみ、がわかりそうでわかんないなあ」「生理じゃないの(笑)。去年から来てなかったのになあって」「しみじみってそういうこと? セフレに送っとくんだ」「KAZUさんより。今ケチャマンって言わない?って。あー中学の時までケチャマンって言葉ありましたね」

しみじみと青痣なぞる寒稽古/企鵝

「このしみじみ、はやっぱりナルシシズムだなあ。苦しい稽古に耐えた俺カッコいいっていうのがすごく感じてしまうんですよね」「なぞる、がダメだな。なぞらなかったらいいのに」「なぞらなかったらギリギリ耽美で止まるんですよね。耽美を踏ん張り切れなかった」「しみじみと、頬の青あざでもすねでもいいし場所だけにして、寒稽古、で終わればいい。しみじみと膝の青痣寒稽古、くらいで」「なに入れるかなんですよ。例えば剣道で籠手(こて)を攻められて腕とかひじとか、突きで胴や腰に青あざができる。しみじみと腰の青痣寒稽古、とか、しみじみと脛の青痣寒稽古、とか、部位で止めたらよかったですよね。これは難しい。句の題としては非常にいいテーマだと思います」「どこがいいかねえ。見えるとこがいいよ」

しみじみと春着の甥を見つめたり/遊鬼

「難しいとこで。これじじいっぽいよねえ」「春着の甥、がくどい。甥じゃないほうがいいですね」「甥、はやり過ぎ」「もうちょっと裏切りがあれば」「春着って若い子が着るイメージだからなあ。年寄りが着るのも春着とは言うんだろうけど」「12歳くらいの甥じゃないですかイメージとしては」

しみじみと枝に紅さす枯桜/ときこ

「アメリカの教科書に載ってそうだ」(笑)「日本語を英訳した、その逆バージョンの感じ」「紅さすってなんですか?」「赤くなってくる、花がついてくる」「無理した翻訳みたいになりましたね」「中国人が日本人の書いた文章を真似たみたいな」

しみじみと七種粥の喉を過ぐ/翼

「荒い感じがするなあ」「しみじみと七種粥の塩の味、くらいにしようかな」「しみじみ、は合ってるんだけど、そのまんま過ぎませんかね。ツイッターでいいねもらえそうなんだけど、それ以上の感じしないんだけどな。七種粥の味の素、だったらいい気がするけどなあ」「いや、それはオチになっちゃうかな」「馬鹿過ぎるか」

クリスマスしみじみ貝をこじ開ける/小川

「たとえば磯丸水産とかに行って」「オマンコのことじゃないの」「そういうこと?」「貝はオマンコでしょう」「無理矢理やったってこと?」「クリスマスに磯丸行くかなあ」

※磯丸水産は関東を中心に展開する居酒屋チェーン。目の前で貝が焼ける磯丸焼きが名物。

しみじみと雪の骨から拾ふ釘/ぽっぽ

「雪の骨ってなんだろな」「たぶん雪の中に埋まってる白骨死体だと思います。違うかな」「それで釘、でしょう。ゴチャついてるかな」「特殊な風景だな」「固まってる雪のことなのかな雪の骨、っていうのは」「家の骨格みたいなのを骨、って言ってるのか。雪に埋まった柱とか。だとしたら省略し過ぎだな」「ラフだなって感じがする」「雪骨(せつこつ)っていうのは梅のことだそうです。でも雪の骨、は意味が取り切れない」「ぽっぽさん、すいません特別な意味はないですって」

埋火やしみじみと食ふ娑婆の飯/KAZU

「うずめ火って?」「囲炉裏の後に残ってる火」「灰の中に埋めた炭火。いいんじゃない?」「ちょっと古過ぎるかな。季語動くと思うけどね」「雪催いとかすきま風とかほかの冬の季語入れてもいいと。でも埋火って目立たず生活しようって感じがあっていいんですよね」「隠遁感か」「もう人様に迷惑かけずに生活しようって改心した感じ。で、しみじみと食ふ娑婆の飯。白米ってこんなに美味いのか!っていう。外で食う飯の美味さ、700円でこんな美味いもん食えるのか」「ちょっと作り過ぎかな」「KAZUさんでした」「リアルだな」

頬のしみ地味に増やして海豚(いるか)来る/みずな

「イルカのシミは面白いね。イルカにシミがあったって発見はすごいと思うけどね。ありそうな気がするもんな白いとこに」「流石にしみ地味に増やして、は無理があると思いますよ」「イルカのシミだけ残して変えればいいんじゃない」「はじめ人間のシミだと思ったんですけどね。肌にシミが増えて10年経ったら昔会ったイルカに再会したって句かなと思ったんだけど」

しみじみと挽歌の多き歌留多かな/遊鬼

「くどいな。そんなカルタあるかよ(笑)」「挽歌…死者をとむらう詩歌」「どこが作ってるんだ」「面白いけどね。しみじみと挽歌ばっかりあるんでしょ。忌野清志郎カルタみたいなの勝手に作って、そこに挽歌ばっかだったと」「カルタの中に挽歌見つけたくらいのほうが」「しみじみし過ぎてる」「挽歌だ挽歌だばっかり」「ぽっぽさんから、百人一首じゃないかって。でも恋の歌もあるから、挽歌ばかりじゃないですね」「基本は相聞だからね、百人一首は」

凍み豆腐アテにして飲むウーロンハイ/海音寺ジョー

「あれ? じみ、がないじゃん。ダメですねこれ」「雑だなあみんな。アテってのは関西でつまみのこと。頼りにするって意味じゃないかな」

笹鳴いてしみじみと来る老後かな/小川

「笹鳴きは冬の季語」「「ウグイスのことだからな、笹鳴いて、って動詞にはできないよ。笹鳴き、で1個の言葉だから」「そうすると笹鳴きや、か。笹鳴けり、って用例はありますね。しみじみ、ってそのまま老後になっちゃうんじゃないの」「笹鳴きって若いウグイスの頃だからな、対比がきつ過ぎるな」「もっと変なこと言ったらいいんじゃないかな。笹鳴いてしみじみと」「来る残尿感」「新NISAとかよくわからないこと言ったほうが面白いんじゃ」「笹鳴きも難しい季語だよ」

餅詰まる人を見送るしみじみと/翼

(笑)「なんでしみじみと見送ってるのかわかんない」「あーあーあーあーって。でも三が日の救急車ってお、餅か?って気持ちになるんだよね。その気持ちはとてもよくわかるから。しみじみと、は説明が過ぎるんだけどね」「しみじみ、がわざとらしいな」「そうすると、サイレンを聞くは餅だと思ひけり、とかでよかった。しみじみと聞くのは身内だな。早く死んでほしいじじいが餅詰まって死んだっていうのをしみじみと、それならわかりますね。それならもっと別の用語、土地とか遺産とかそういう話に持ってったほうが面白いかもしれない」

しみじみと保護費で食べる七草粥/桃猫

「七日がゆのほうが音はよかったんじゃないかな」「保護費?」「生活保護でしょ」「包皮で食べるって聞こえた。チンポに米突っ込むのかと」「保護費って言わないんだよね。生活保護、生活保護費、あるいはナマポって言葉も隠語ですけどありますね。逆に、堂々と生活保護費で七日粥、って言ったほうがしっくりきますけどね」

しみじみと由美子の寝顔眺めけり/風の日の扉

(笑)「これぐらいがいいのかもな。まとまってるよね」

しみじみと十歳といふ半成年/翼

「ハーフ成人式」「でも成人が18歳になったからハーフ成人は9歳になっちゃいましたけどね」

こちこちの刺身ジミーの皿に置く/海音寺ジョー

(笑)「大西のことかな」「ヘンドリックス」

しみじみとスキー場にてスキー見る/小川

「おー」「でもスケートのほうがいいかもしれない。スケート場にてスケート見る、音が合わないか」「しみじみとスケート場のスケーター、くらいでいいんじゃないかな」「スケートのほうがしみじみしてる感じがするなスキーより」「スキーはシャー!って感じだけどスケートはツーって感じだから、どっちが合うかって言えばスケートのほうが合う。スキーだとアクティブ過ぎるんだよ、スケート場だともうちょっとのどかな感じがする。言ってることはけっこういい気がする。しみじみ句の中ではかなりいいほうだと思う」

しみじみと好きな子からの雪礫/翼

「こんなヤツはダメだよ」「雪つぶて、雪合戦とかで投げる雪のかたまりですね」「雪浴びてるイメージなのかなあ」「うれしいじゃんぶつけられたら」

しみじみと初湯の魔羅を握りけり/遊鬼

(笑)「あー」「自分の握る? 人のだろこれ」「面白い気もするけどね」「ホモサウナだろ」「ホモサウナ確定の句なんだけどけっこう面白いよな」「図々しい。初湯とか言って逃げてんじゃねえぞ」「今年もよろしくお願いしますってホモカップルで一緒にサウナ行って、湯舟の中で握り合ってる」「キモいよ」

寒波くる悲しみジミーに伝えてよ/みずな

(笑)「ジミーまた出ましたね」「これはいいんじゃないの。黒人兵の代名詞がジミーだから。ベトナムで死んだヤツとかみんなジミーって名前がついてる。歌謡曲っぽいけどな、曲の世界だったらあり得る。俺はこの世界わかる」

数の子はぷちぷちしたるしみじみと/遊鬼

「どういう感情を有してるのか。病んでるよ」

★しみじみと褞袍の穴を広げをり/遊鬼

「あー」「面白い」「これしみじみ、いいんじゃないか」「広がっちゃったんだね」「わざとじゃないんだよ、例えば自分が太ったとか背中を丸めた瞬間にクッと穴が広がった」「気になって触ってるうちに広がっちゃった」「ジーパンとかTシャツじゃ面白くないんですよ。どでらだから寒くなっちゃう、どてらの意味がなくなっちゃうってわかってるから、このどてらはいい気がするな」

大人用おむつしみじみ月氷る/ぽっぽ

「月氷るって言いますか?」「凍みつくって意味じゃない」「季語ですか?」「冴ゆる、より一個先」「さえ切った大気の中で氷りついたように見える月の様子」「凍てるほうのしみじみだよ」

しみじみと回数券で銭湯へ/海音寺ジョー

「わかる」「なんかリアルだな」「リアルだけどそれ以上読めなくないか?」

しみじみと岸田が嫌い小正月/桃猫

(笑)「小正月合ってる」「自民党の挨拶句としていいんじゃないかな」「新聞にカラーで載りそう」「赤旗の俳壇とか載ってもいいかも」

しみじみと斬られてゐる役者/風の日の扉

「殺陣の斬られ役ですね」

★しみじみと判決を聞く冬の朝/たろりずむ

「このしみじみ、はいいんじゃないかな。反省してる感じもするしね」「でも前科ありそうですけどねこのしみじみ、は」

しみじみと送る餅搗で死んだ人/遊鬼

「撲殺じゃねえか(笑)」「餅を詰まらせるじゃなくて頭蓋骨が割れて」

鯛飯に伊予の熱燗しみじみと/桃猫

「あー」「松山の梅錦とイシヅチが美味かったな」

しみじみと雪に埋もれし地蔵尊/翼

「地蔵尊ってなんですか?」「お地蔵さんのフルネームだよ」

二回戦は冠二郎追悼。

冠二郎『炎』

二回戦 叫び声

嫁が君きゃーと叫べばちゅーと返す/小佐治

「平和ですね」「なにも思わないよ」(笑)「空気のようだ」「どうしようもないな」

金魚はあしたで十歳!キャッホーイ!!/海音寺ジョー

(笑)「ひどい」「どういう心境だ」「金魚ってちゃんと育てると10年くらい生きるんだよ。すげえでかくなる」「突然過ぎて全然シーンが入ってこない」「馬鹿じゃん」「全部ずらしてあるんだよ。まず金魚、がずらしてる。犬とかじゃなくて金魚でずらしてる。今日じゃなくて明日、で、長寿の金魚。で、最後のキャッホーイ、がムチャクチャずらしたよね」「ビックリするわこれ。相当疲れてるんだろうな」

いやーんと言つてしまつた寒泳ぎ/たろりずむ

「40歳くらいの」「40歳男性」「年齢を感じるよね」「ちょっと面白いけどね」

一-二の怒声淑気を突き破る/翼

「競艇ですね。競艇っていうのは内側が勝ちやすくて、1号艇-2号艇っていう連番がいちばん来やすいんですよ。そうすると1-2!1-2!って叫ぶ。淑気、正月のお祝いムードですね、それを突き破る。突き破る、が合ってるのか」

きゃんきゃんと獅子舞を追ふポメラニアン/遊鬼

「おー。まあ狙いがわかっちゃった感じがするな」

ええいああマイクを奪う新年会/桃猫

(笑)「一青窈じゃねえか」「一青窈の『もらい泣き』を入れてたら、サビの部分で上司が、2本マイクがあってもう1つをオンにしちゃったんですね。物理的にマイクを奪ったってよりはいちばん美味しいとこかっさらってった。言ってることはわかるけど、これだとオチのある感じですね」「サラリーマン川柳っぽい」「もらいゲロにしたらいい。ええいああ忘年会のもらひゲロ」「それは俳句としていいですね」

返り花体操選手ポと叫ぶ/小川

「面白いんじゃない。ポと叫ぶ、がポ!」(笑)「馬鹿っぽくていいね」「返り花、どうなんだろう」「外で鉄棒とかやってるイメージだな」「ポと叫ぶ、は面白いね」「それこそ金子兜太っぽい感じが出てくるんだけど、返り花が変だと思う。なんだったら面白いかは難しいけどね」「天気とかいいかげんな季語がいいと思う。秋の雲とか雑なので」「たぶんポっていう名字だと思うんだよな。監督の名前を叫んだ」「ハードル跳ぶたびポ!ポ!ポ!ポ!って(笑)。微妙に力の入らない抜ける音が」

キャーの声オーイと返す消防士/小佐治

(笑)「4コマ漫画的な。でも普通にあり得ますもんね。リアルではあるよね」

ルンルンルン♪コロッケ全部半額に/海音寺ジョー

(爆笑)「声に出すなよ」「ひどい。馬鹿なんじゃないの」「コロッケに季感はないんだけど俺は台風だって思っちゃうから、夏の季語っぽい感じがするんだよ」「海音寺おかしくなってる」

イエス!カモン!イエス!スタートプリンセス/たろりずむ

(笑)「スタートプリンセスってなんだ? 姫始めか!(爆笑)馬鹿なんじゃないの。ひど過ぎるな。新しいルー(大柴)季語遣ってきました」「走り出したのかと思った」「おもろ過ぎるな」

対面の白目白息中ビーム/翼

「難しい。麻雀の話なんですけど、4人で卓を囲んでる正面に座ってる人のことを対面(トイメン)といいます。そこに中(チュン)を捨てるときに逆さにして中ビームって言うしゃれがあるんだけど、それを叫びながら言う人がいるんですよ雀荘で。大学生とかよくやってるんですね。でもつまんねえなこれ。白目白息、ハクハクって来てるからなんかいいんですけどね。だいたい雀荘は室内なんで白息しないんですよね」

釣り舟にギョギョっと叫ぶ誰かいて/小佐治

「さかなクンのことを言いたいんだろうなあ。冬帽子くらい言っちゃったら? あの帽子を。もうちょっとわかりやすく伝えてもいいんじゃないの」

グエッ盗み食いしたメンマ酸っぱし/海音寺ジョー

(笑)「メンマいいなあ」「俺メンマとか嫌いなんだよ」「なんでメンマ盗み食いするのかな。よくわかんないな」「メンマ酸っぱいときあるよたまに。海音寺、今日おかしいね」

たすけての声が消えゆくスキー場/たろりずむ

「スキー場って聞こえづらいからね、広いから」「違うとこがいいなあ」

きゃー誰か助けて海鼠入れられる/桃猫

(笑)「わざわざこんな叫び方しないですよね。実況してどうするの」「漫画のセリフっぽい」「きゃー誰か助けて海鼠が入らない、のほうが面白いよね」(笑)

枯芝尖らせルメールのクソボケー!/翼

「ルメール嫌いだから」

上の階はマツケンサンバやろか/風の日の扉

「オーレ!」「言ってることはわかる。上からドコドコ足音が聞こえてきてオーレ!って聞こえるからマツケンサンバ踊ってるのかなって思ったって」

露天風呂あービバノンノ冬の月/桃猫

「ビバノンノってなに?」「『いい湯だな』だよ」「なんか古いよね。昭和の感じするなあ」

ザ・ドリフターズ『いい湯だな』

ファイヤーと喜んでいる消防士/翼

「んー微妙なとこだな。ファイヤーって言葉なんだけど、英語圏だったら解雇、戦場だったら突撃とか砲撃。この場合は火を見て燃えててファイヤー!って。パチンコの源さんみたいですね」

少年にコラーっと叫んで蜜柑食ふ/小川

「昭和のおじさん感」「そういう人いるよねって」

ファッキンジーザス福袋に束子/翼

(笑)「いいんじゃない。問題はこれ白人だとしたら逆に喜ぶと思う。日本のおみやげになるじゃん。なんだこれウニか?って調べたらたわしっていうキッチン用品だったと」「いちばんガッカリでたわしっていう感じが」「たわしでなんでガッカリするかって、東京フレンドパークの、ダーツのいちばん悪い景品がたわしだったんですね。パジェロパジェロって言ってたわしに当たるのが外れのイメージなんですね」「もうそのイメージはないかな」

※『関口宏の東京フレンドパークⅡ』は、2011年まで毎週月曜に放送されていたテレビ番組。芸能人やスポーツ選手などのゲストがいくつかのゲームに挑戦し、クリアすると金貨がもらえ、最後に金貨を矢に換えてダーツに挑戦する。最高賞品はスポンサーの三菱自動車が提供する四輪駆動車パジェロで、外れがたわしだった。

初旅の海に向かつてさつちやーん/翼

ガソリンを撒いてかぶってぶっ殺す/桃猫

「うおっ、暴力的ですね」

姫始めオラオラガスガスバクバクと/翼

(笑)「なんですかガスガスバクバクって」「漫画であったんだよ伝説の女殺しの、究極のセックスの擬音。クロスファイヤーって必殺技もあって」

松納め天皇陛下万歳と/翼

「あんまり面白くないんじゃないの」「門松を天に向かって突き上げる」

1出ろと3回叫ぶ絵双六/企鵝

「ありそうな句ですね。3回がいいのか、2回じゃダメなのか。1出ろと3回叫ぶ、はすごくわかる。正月に双六をやって1だと逆転できるから、いちばん勝ってるヤツに対して言うんですよね。ただ、普通ですね」「言い方がいいよ。うるさい感じが」「ありそうな句ではあるんだけど、ストーリーの面白さは感じるんだけど、俳句としては面白くないですね。音もいいけど」「ここからどうするかってとこだろうな」「1出ろ、の言葉のチョイスはいいと思う。なにするかなんだよね、絵双六を前にして。3回叫ぶ、よりいい言葉なかなか見当たらないですけどね」「1出ろと唾吹き飛ばす絵双六」「翼さんじゃないですか(笑)」

うばおぶぶ今年も哲雄は大丈夫/翼

(笑)「うごー」「全然意味わからない」

シュッシュッとパンチに音つけ落葉舞う/翼

「パンチに音つけ、まではわかる。効果音馬鹿って呼んでましたね、デュクシデュクシとかシュッシュッとか」「なんでデュクシデュクシって言うんだろうなあ」「あれは文字起こししたヤツが天才なんだよ、デュクシってカタカナ表記を開発したのは20~30年前だと思う。落葉舞う、まではカッコつけなんだよ」「ロードワークの時やるんだよ。シュッシュッって本当に言ってんだよ。試合中にシュッとか。『はじめの一歩』のいちばん最初がそうなんだよ。1回で落葉を5枚つかむ」

以上で終了です!! ……と思いきや。

以下、読み残し11句です。

「さっちゃーん」返る視線のあたたかし/小佐治

「『サインはB』って歌でそういう歌詞がある。ちゃんと見えてるよ、あなたの声援届いてますよっていうのを思い出しますね。視線をもらったってのはごほうびですからね、推しとしては」

アニメ『推しの子』より『サインはB』

パンダカーに轢かれる/風の日の扉

「声が聞きたいよ。パンダカーって100円で動く前に進まないヤツだろ」「進みますけど歩くより遅いんですよね」「進まないヤツあるよね固定のヤツ。あれにひかれるって面白いね。あのエクソシストみたいな動きのヤツ」

後輩の押忍ばかり聞く初電話/企鵝

「事務所ですねヤクザの」「ええそう取るんですか?」「もしもしも言っちゃいけないんだ。はい、も言わない、○○組としか言わない出方があって、相手もなんとか声だけで判断しなきゃいけないから電話番って大変なんだよ。1コールで出て、はいももしもしも言っちゃいけない」「でもこれは流石に柔道部の後輩だと思いますけどね。柔道部か剣道部か合気道部か。初電話ってのは事務的連絡ですかね。あるいはなにかしきたりがあって、先輩に年賀状の代わりの電話をしなきゃいけないってそういう部活なのかもしれないですね。先輩お元気でございますかって」「でも押忍は声だから電話でなくてもいいと思うけどな。声に限定すると電話、がくどくなるから初仕事でも初詣でも、全然違う初にしたらいい。姫始めとか(笑)」

いよーっ初糶(せり)の百万円/遊鬼

「この間マグロが1億ン千万円で久しぶりにご祝儀価格ついたって話題になってましたね。まあなにかに100万円ついたんでしょうね。ミカン1箱100万とかついたらいいですけどね。でも100万円、微妙なとこですね」「100万ってスケールが小さ過ぎるよ、普通だよ」「初せりの1兆円とかあり得ない額を言っておくか、額を言わないほうがいいか。せりで親指上げたりするじゃないですか、指の爪、くらい言っておけばいいんじゃないですか。黒ずんだ爪とか爪の跡とか」「黒き爪、くらいにしとくかなあ」「それは労働者ぽい感じが出ますね」

虎落笛旅の終わりにヤッホーと/KAZU

「もがりぶえって?」「風のヒューっていう音」「冬の激しい風が柵などに吹きつけて笛のような音で鳴ること」「これ、冠二郎の『旅の終りに』だから」「じゃあ挨拶句なんだ」

あーん泣きたい昔の日記読み返し/桃猫

(笑)「漫画みたい」「もだえてんじゃねえかよ」

餅搗で臼割れうわーひえーなど/遊鬼

「など」「なんでまとめる必要があるんだよ。突然つまんなくなる」「など、がつまんねえなあ」「など、のとこが聞きたいよ本当は」「餅つきで臼割るは新しいですけどね。餅つきで臼割ったらなにしてほしいですかね。割りたる力士、じゃ面白くないしなあ」

麓よりヤッホー続く山始/企鵝

「ふもとではヤッホーって言わないんじゃないの、奥行かないと。上から降りてくるって感じか」「小学生の遠足だと、もう山びこ聞こえるんじゃないのってふもとから登りながらヤッホー、いやまだ響かないねって、そういうの味わいながら登ってく様子はわかります。ただ山始めって、初登山ってことですか?」「山開きだと5~6月だからね」「山始め…正月の山仕事の仕事始め、山に入って儀式的に木を切り山の神に供え物を捧げる。正月の季語。山開きと全然別ですね」「続く、が声がずっと上から降りてきてるのか、連呼が続いてるのか、ちょっとあいまいかな」

ぎやーっ初乗りで轢き逃げ/遊鬼

(笑)「初ひき逃げ」「初乗りってのは季語で乗り初めと同じ」「電車とか公共機関に乗ることで、自分で運転するのはあんまり言わない」「初乗りって普通130円の運賃のこと言うんじゃないですかね。初電車って言葉もありますね。初自動車、初車、初飛行、初渡しなんてのもありますね」「初渡し、渋いね」「この場合は車なので」「ぎやー、が雑だなあ」「初乗りでひき逃げ、はラップ調になっちゃって、この音がよくないと思うんですよ。人間に当たつたやうな初車、くらいだと落ち着くんじゃないかな」

をぢさんがあーっと叫ぶ初湯かな/遊鬼

「あに゛つけてほしいな」「全然面白くないよ、普通だよ」「ああつと叫ぶ、変ですね。叫ばないんだよな」「うなる」「うなるっていうか、吐く息に音を乗せる。それを日本語でなんて言うんだろうなあ」「漏らすとか」「をぢさんが音漏らしたる初湯かな、だったらまだわかるか」「おめく」「結局句の題としては面白くない、おじさんがただ息を漏らしたってだけだから」「村越化石の句にすごいのあったな」

※村越化石(むらこしかせき)。ハンセン病およびその後遺症と闘いながら句作を続けた。「除夜の湯に肌触れあへり生くるべし」

初売のざわざわとしてギャーギャーに/翼

「まあわかる」「ざわざわとして、が効いてない。ギャーギャーはいいんじゃない」「初売りのいつの間にやらギャーギャーと、とか。初売りのそのギャーギャーになる様子のダイナミックさはいいと思うんですよね。ギャーギャーになっていく、その人間がだんだん増えていく、だんだん集まっていく、それをなんて言うんだろう」

寒泳であーっと消えて仕舞ひけり/遊鬼

「うーん、しまっちゃうのかってところだと思います。あつと消えてしまいさう、だったらまだわかるんですよ。それなら自殺したい少年って感じがするんだよね。しまいけり、ってダメじゃん死んじゃうじゃん。死ぬことを笑うんだったらまた違う言い方が。でもそうすると今度は寒泳が合わないんですけどね、夏のほうがいい気がする」

以上で本当に終了です!!

最後までお読みいただきありがとうございました!!

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